277:イーブイ、頑張る ページ29
こうして隠れている間にも、ナオシの声はだんだんと厳しく、強張ったものへと変わって行く。彼の呼びかけに応じない自分達を不審に思って、それにサトシやタケシも加わってしまった。
トレーナーに返事をしようとするピカチュウは、透明なケースの中で暴れている。電撃対策だけでなく防音性も備えたケースだ。ピカチュウがサトシ達に危機を伝えることは出来ないが、まずい状況であることに変わりはない。
「まずいのニャ、このままだとそのうち強行突破されるのニャー!!」
「どうすんだよ!?」
「……こうなったら何が何でも逃げるわよ」
静かに告げたムサシ。ニャースとコジロウは彼女の目を見…そしてギョッとした。ムサシの目がギラギラと殺気立っていたからだ。
「む、ムサシ…?」
「ここまで上手くいったのに捕まってたまるもんですか!!ニャース、気球スタンバイ!!」
「え、えぇ…」
「何その顔は!?今やんなきゃ全部水の泡!!さあ早くずらかるわよ!!」
「ニャース、ムサシの言う通りだ!気球で空に逃げるしかない!」
「わ、分かったのニャっ!」
「すみません!いらっしゃらないのですか!?」
「何で返事しないんだよ…!?」
「こうなったら、裏から突入するしか…」
「おい!何が何だか知らねーが、俺のポケモンに何かあったら罰金どころじゃ済まねーぞ!!」
ジュンが大声で叫んだとき、突然大きな破壊音が響き渡り、煙を上げて屋台が崩れ落ちた。
「っ!!」
「ナオシさん!」
一番屋台に近い位置にいたナオシの上に木材が倒れ込んできたが、すんでのところでサトシとAが彼の手を引き、下敷きになるのを回避した。
「サトシくん、Aさん、ありがとうございます」
「ちょっと、一体何事なのよ!?」
「…なんか、前にもこんなことがあったような」
ウララとノゾミが煙の向こうを見ようと目を眇める。
ようやく視界が晴れたとき、マッサージ屋があった場所には粉砕された柱や壁の残骸が残っているだけだった。よくもまあこんな設備で店を開けたな、と思うほどに貧弱な木材だ。
「ちくしょう、一体何だってんだよ!?」
「『一体何だってんだよ!?』の声を聞き!!」
「光の速さでやってきた!!」
不敵な声に一同が顔を上げれば、青い空を背景に巨大なニャースの顔が浮かんでいた。
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こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» そうですね!もう進化したので『(元)イーブイ、頑張る』といった感じです(笑)そして相変わらず勘が鋭いですね!ご名答です!リーフィアは新しい技を覚えたのですが…それが何かは次のお話で! (2016年12月27日 14時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
クローバーハート - おおっ!イーブィからリーフィアになったね!イーブィ、頑張る!から変わってリーフィア、頑張る!みたいになった感じ気分だよ!(笑)新しい技も覚えたのかな?('∇`)まさか…ソーラービーム…だったりして?(ーωー) (2016年12月27日 10時) (携帯から) (レス) id: d08ee1eb1c (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» 残りHPが少ない状態で仲間を呼ばれてぎゃあああああ(O_O)ってなったことはありますが、珍しいポケモンに会ったことはないですね…。そして絵も見てくださってありがとうございます!小説を書くのも絵を描くのも好きなので、両方上手くできるように頑張りたいです! (2016年12月26日 8時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
クローバーハート - あなたは野生のポケモンの仲間呼ぶ所はよく現れましたか?('∇`;)絵相変わらずに上手いねぇ!パソコンを使って作ったみたいね。サンタさんとか何かのコスプレを着た姿は無いね…(´ω`)サトシのピカチュウは居ないね…。 (2016年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: d08ee1eb1c (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - クローバーハートさん» 私はまだストーリーをゆっくり進めている最中なので、そういった楽しみ方に憧れます!クローバーハート様のところに理想のピカチュウがやってきますようにo(^▽^)o長文失礼いたしました! (2016年12月25日 13時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年12月11日 18時