君が僕の希望だから 6

271：銀翼乱舞 ページ23

撒かれたまきびしが避雷針の役割を果たし、10万ボルトからエアームド達を守ったのだ。


「何っ！？」
「ピカ！？」


揃って驚きの声を上げるサトシとピカチュウに、Aはしてやったりと嬉しくなった。
だがこれで終わりではない。Aがエアームドを上昇させたそのわけは。


「エアスラッシュ！10万ボルト返し！！」


エアームドは心得た、とまきびしにエアスラッシュを当て、地上のピカチュウとエンペルトへ向けて打ち出した。
まきびしは帯電したまま。そしてピカチュウとエンペルトは、10万ボルト・まきびし・エアスラッシュのコンビネーション技をまともに受けてしまった。


「やったやった！エアームド、ナイスっ！」
「…マジかよ…、やるじゃねーかA！！」


メタルクローの呪縛から逃れるなら、10万ボルトが手っ取り早い。きっとサトシはピカチュウに10万ボルトを指示するはずだ。
その考えが見事的中し、さらに閃いた合体技が成功した。Aは嬉しさを隠すことなく喜んだ。
半信半疑でAに乗ったジュンも歓声を上げ、Aとハイタッチを交す。


「やるなあA！」
「一撃受けちゃったね」


バトルを苦手としていた彼女が、こんなにも嬉しそうにバトルを楽しんでいるなんて。
サトシは自分のことのように嬉しかった。

10万ボルトはエンペルトに効果抜群。やられた、と悔しそうなケンゴだったが、まだまだ諦めてはいない。
ポイントはこちらが大きく削られてしまったが、すぐに挽回できる点差だ。


「サトシ、そろそろ決めよう！」
「おう！」
「A、このままいくぜ！」
「うん！」


お互いに、次で決めるつもりだ。

無言で睨み合い、相手の出方を伺っていたが……ついにケンゴが動いた。


「ハイドロカノン2発！決めろエンペルト！！」


高威力の水技を連続して撃ち出す。
普通はチャージにかなりの時間がかかるのだが…ケンゴのエンペルトがよく鍛えられている証拠だ。


「怯むな！メタルクロー、突っ込め！！」
「切り裂くで防御！そのまま攻撃！」


2体のエアームドは翼を煌めかせ、水のエネルギー弾を切り裂いた。
ダメージはない。水飛沫が鋼鉄の身体の輝きを引き立て、相手のポイントを削る。

そのままエアームド達の攻撃が決まる…かと思ったが、サトシ達の方が一枚上手だった。…ハイドロカノンは陽動だったのだ。

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