君が僕の希望だから 6

263：コンテスト・ライバルズ ページ15

「まあまあ。同じシールでもコーディネーターによって魅せ方は変わる。そこで争わなくてもいいんじゃない？」


静かな火花が2人の間に散ったとき、それを宥める声がした。
そちらへ視線を向ければ、姉御肌な雰囲気を纏った朱色の少女が口元に笑みを浮かべていた。


「ノゾミ！」
「久しぶり、ヒカリ。さっき向こうでケンゴを見たよ。偶然とはいえ、見事に集まったもんだよね」


よほど『ホウエン地方』という言葉が響いたのか、トップコーディネーターへの道を競い合ったライバル達がほとんど集まっている。

相次ぐ知り合いの登場に完璧に置いていかれていたAは、控えめにヒカリへ話しかけた。


「…あの、ヒカリ、この人達は？」
「ごめんA！Aは初めて会うんだったわよね。ノゾミとウララ、2人共コーディネーターで私のライバルよ。特にノゾミはトップコーディネーターになったんだから！」


ヒカリの紹介を受けて、2人のコーディネーターは初めてAへと目を向けた。


「Aっていいます、初めまして」
「よろしく」
「初めまして。それにしても、あんたのところはまた人数が増えたんだね」


基本的にライバル達は一人旅をしている者が多いが、ヒカリはAも含め4人である。大人数に見えて当然だろう。


「ノゾミ達もこのフェスタ目当てで？」
「ポロックが気になってね。ホウエンのコンテストの雰囲気にも興味があったし」
「私も似たようなものよ。ここまでの品揃えってなかなか無いし、コーディネーターにとって見て損は無いんじゃなくって？」


他者が踏み込みにくいこの雰囲気は、ライバル同士の絆によるものなのだろうか。Aは少々場違いなところにいるような感覚がした。

邪魔になるようだったら席を外そうか、と考えたときに、事の発端・ジュンがこちらへやってきた。その後ろには、ケンゴ、サトシ、タケシも一緒だ。


「おーいAー……ってなんだなんだ？人数増えてねーか！？」
「なんか、コーディネーター大集合って感じだね」


のほほんと感想をこぼすケンゴの後ろで、サトシとタケシは他人に分からない程度に顔を引攣らせた。Aの隣にウララがいたからだ。

彼女はヒカリに対して嫌味っぽい態度をとっていたのが印象的だが、それは過去の話…と思いたい。染み付いたイメージというのは頭で言い聞かせるだけでは消えてくれないらしい。
サトシは喉元まで出かかった「げっ、出た」という言葉をすんでのところで飲みこんだ。

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