Story.5 ページ7
そうか。独特の威圧感はこの人の霊圧が原因なのか。
そう気づいたところで現状は何も変わらない。
「宮本サン、コッチですよ」
そう浦原さんに呼ばれて机の正面、即ち老人の目の前に立つ。
一瞬であったが凄く長く感じた間の後で、総隊長殿が口を開いた。
「浦原喜助、儂は戦力になる人間を連れて来いと言ったんじゃ、誰が小娘を連れてこいと言った」
...威圧感。ピリピリした空気は私の思い違いなんかじゃなかったようで。
落ち着いた低い声。怒りの矛先が向いているのは浦原さんだと分かっていてもビクッと肩が震えてしまう。
「まあまあ、総隊長。ココじゃ総隊長の霊圧で掻き消されちゃってますけど彼女の霊力、凄いッスから。
それにまだ若い。伸びしろもあるし申し分ないと思いますよ」
それに対して浦原さんと言ったら、総隊長殿が怒っているのに気づいていても飄々とした口調で話しかける。
...それは、本心であるのか。もしくは裏があるか。
言ってることは至極まともなはずなのにそう感じされる口調は更に総隊長殿の不信感を煽ってしまったらしく、老人の目線がこちらに移る。そして、
「小娘、名はなんじゃ」
「宮本です。...宮本Aです。」
名を聞かれ名乗ったのに返事の欠片もなくまた考え込む総隊長殿。
ああ、もう私殺されるかもな。そんなことをぼんやりと考える。
そして、数秒の後、
「真央霊術院への入学手配をしておこう。
死神になるのはその後じゃ」
...どうやら、命は助かったらしい。
浦原さんへの総隊長殿の信用は私が思っていたよりも厚かったらしく。
...この場を乗り切れたことに正直凄くほっとする。
真央霊術院とは言わば死神の学校。
霊力の高さで現世から引き抜かれてきたといっても、その当たりはきっちりしなければならないらしい。
「入学試験免除っスか、総隊長」
「それぐらいの優遇はあっても良かろう。
現世から御苦労であった。」
今まであった嫌な威圧感はなくなり、柔らかな口調で私に話しかける総隊長殿。
その後、総隊長殿は再び自分の仕事に戻ってしまい、机から全く顔を上げなくなった。
「さ、用も済んだことですしココ出ましょう。ゆっくり街でも案内しますよ」
そう浦原さんに促されたので、総隊長殿に
「ありがとうございました」
そう言って一礼し、一番隊隊舎を後にした。
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明里香(プロフ) - 35話、関わりんときじゃなくて、関わらんときです。 (7月25日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 34話、浮竹隊じゃなくて、十三番隊です。個人名で隊の名前を呼んだりしません。 (7月25日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 27話、予告道理じゃなくて、予告通りです。 (7月25日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 1話、頬ずえじゃなくて、頬杖です。 (7月25日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
近藤。(プロフ) - 煉海さん» ...イヅルは...毒舌ですよ?(願望)イヅルに罵られてみたいなぁ... (2018年1月16日 20時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:近藤。 | 作成日時:2017年2月26日 11時