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Aさんは特殊な体質の持ち主である。
それ故に、怪我の治癒は人一倍速い。それはもう人間とは思えぬほどの回復力を備えている。
それに伴って、彼女は薬の効きが速かった。と同時に薬が切れるのも速かった。
今回の薬も今までと同じく、切れるのが速かったのだろう。
見たところ彼女は冨岡さんに恋心を抱いたことに関しては何も覚えていなさそうだし、この推測は間違っていないはずだ。
「あ、そういえばしのぶさんの薬ってどんな感じです?感覚的には何も変化を感じられないというか…?」
「ええ、でも大丈夫ですよ。もう十分効果は見られましたから。
さぁ、お茶菓子を持ってくるのでお茶にしましょう、私のお部屋で待っていてくださいね」
「えっ頂いてもいいんです!?やった〜じゃあお部屋でお待ちしてます!!」
るんるんと楽しげに冨岡さんを通り過ぎて去っていったAさんを、冨岡さんは目で追う。その顔は未だに何が起きたのか理解出来ていないとでも言いたげな顔だ。
しかし数秒後、ようやくことの状況が読み込めた冨岡さんが私を恨めしげに見つめる。
「……どういう事だ、胡蝶。Aは俺の事を好いているのではないのか」
「あら嫌だ冨岡さんったら。万人に愛されるAさんが、あなたを好きになるなんてありえないじゃないですか。
彼女のあの行動は薬によるものです。Aさんは一時的に恋愛感情を抱いていただけで、薬の効果が切れた今、彼女にとって貴方はただの上司に過ぎません」
「…(俺とAは)友達だ」
「ついさっき恋仲に発展させようとしてた人が何を言うんです」
「…!」
ぐ、と押し黙る冨岡さんに私は高笑いしたい気分になった。
彼が告白をしようとした瞬間薬が切れたのだ、しかも彼女は何も覚えていない。実に滑稽です(辛辣)
無表情、だがしかしどこか悲しげな雰囲気を醸し出す冨岡さんを横目に、私は彼女の後を追う。
冨岡さんが対象になってしまった時はどうなることかと思ったが、結果的に薬を使わずともAさんとの距離は縮めることが出来た。
冨岡さんには悪いがまあ仕方ない、成功に代償はつきものである。
「もうあの薬を使う必要はありませんね」
.
あの薬はこっそり始末しようと決意したしのぶ。
しかししばらくしてしのぶがAに惚れ薬を使ったとバレて彼女に距離を置かれ、再び薬を使用するのはまた別の話である。
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Nami - 冨岡さんに嫉妬する他の鬼滅メンバー面白かったです♪冨岡さん好きだぁぁ♥ (2022年11月4日 11時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
もろん - 最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です最高です(言い過ぎてごめんなさい) (2021年6月11日 17時) (レス) id: 2c8540451a (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - ひかりさん» 夢主ちゃん…君少し贅沢過ぎては…羨ましい!!! あんな素敵な声で囁かれたら気絶しちゃいますよ!? あぁ……好き… (2020年4月4日 1時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - マロさん» 無惨と結婚したらあのいい声で囁かれていい顔を毎日拝めるんですよね……至高の幸せですよね………… (2020年4月4日 0時) (レス) id: a5a72bcd0d (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 無惨と結婚!? やだ…切実にお願いしたいです……無惨の笑みとか絶対素敵じゃないですか… (2020年4月2日 23時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひかり | 作成日時:2020年3月28日 10時