【鬼滅の刃】夢に惹かれる【愛され】

火蓋を切る。 ページ18

ひたすらに首を傾げる無一郎をよそに、炭治郎は全然関係ないことを考え出す。






｢(しまった、珠世さんの猫戻ってるかなまた禰豆子の血の変化を調べてもらってるんだった)｣









珠世さんとは、炭治郎が鬼殺隊に入って間もない時に会った鬼である。




鬼舞辻無惨の呪いを解き、人を食わずして生きている特殊な鬼。



彼女が鬼にしたという愈史郎と共に暮らしている彼女に、以前任務の時に会って以来炭治郎は鬼を研究する協力をしている。




鬼を倒し、倒した鬼の血を集めることである。十二鬼月ならばよりよい。





ついでに禰豆子の血の変化を調べてもらっているのだが、炭治郎はまだ彼女の血を採血していなかったらしい。






時透君がいる前じゃ出てこないよな…と思っていた時だった。








｢…んっ？誰か来てます？｣


｢そうだね｣









ふと襖の向こうに誰かの気配を感じた炭治郎。



どうやらそれに気付いたのは無一郎も同じらしく、同じく襖を見ている。


すぅ、と襖を開ける音に気づいてAも同じ方向を見た。








そして驚きのあまり息を飲む。









ぬらりと現れたのは鬼だった。しかもAには見覚えがある。






無限城に攫われた時に何度か話し相手として私の元に派遣された鬼である。ヒィイイと言いながら入ってくる様はあの時と同じ光景である。








なにより衝撃的だったのはその気配のとぼけ方の巧さ。








炭治郎やAはもとより、時透でさえ目視するまで鬼と認識できなかった。





裏返っているのか目には数字を確認できなかったが、間違いなくこの鬼は状元であると判断。



この間瞬き一度にも満たない時間、時透・炭治郎・Aは戦闘態勢に入る。




びりびりした緊張感が彼らの間に走った。






｢霞の呼吸、肆の型＿＿＿移流斬り｣




無一郎が呼吸で技を繰り出す。霞が掛かったようなその技を鬼はヒィヒィ言いながらも避ける。その動きは早い。柱である時透でさえ仕留められぬ程。



しかし切りつけることは出来たようだ。いぢめるな、痛いなどと喚く鬼は天井に張り付いている。



Aはそんな鬼をぎろりと人睨みした後、攻撃を繰り出そうとする。しかし身長が足りない、飛び上がっても難しい。



何か踏み台を、と見渡すがこの部屋は自分のモノでは無い、もし壊してしまってはまずいと判断したAは＿＿＿




｢炭治郎、ちょっと肩貸して！｣


｢えっ！？｣


｢踏ん張っていればいいから！｣

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