銀へ。 ページ24
拝啓
坂田さん。
私があなたをそう呼んだ時からもう何年も経ってます。
私があなたを介抱して、あなたが私を探し回った。
恋人とともにあなたには世話になってばかりです。
なぜ私があなたのことを銀と呼んでいたのか。
理由があります。
私の耳が使い物にならなくなってからというもの、自分の声が一切聞こえなくなったことでうまいこと言葉を話すことが出来なくなりました。
坂田さん、そう呟いても私の耳には届かない。
だったら、もう呼びたいように、そして呼びやすいようにと考えて『銀。』の一文字なのです。
うまく発音出来ていなかったらごめんなさい。
本当は生きているうちに伝えたかったのですが、私はあなたのことが今でも好きです。
でも、結ばれることはできません。
私は最低なのです。あの日直嗣さんを失って以降銀のことを探していました。
心を開いていた男性を失って、私は気が滅入っていたのです。またこうして繁華街を歩いていたら会えるかもしれない。
今も万事屋をやっているなら、とあの日私は夜の街を歩いていたのです。
私は銀に会えただけで本当に幸せでした。
もう思い残すことはないのです。
ありがとう。
愛してます。
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おちゃちゃ - 切なくていい話ですね。もう泣いちゃいました。 (2018年6月11日 23時) (レス) id: 687e689f52 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 空乙女さん» そう言っていただいて嬉しい限りです!まだまだ書き手としては新人なのですが、その言葉を貰うと自信が出ます(( 。ハイキューのやつも書いてたんでたまーに見てくださいね笑 (2018年3月5日 3時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
空乙女 - 切なくて悲しくてとても綺麗なお話ありがとうございました。表現法がとても綺麗で読み惚れました。ハイキューは私も好きです。これからも頑張ってください (2018年3月4日 22時) (レス) id: da52fc6dbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hikari | 作成日時:2018年1月10日 10時