『見せばやな』 ページ3
「あの、そちらに藤沢Aはいますか?」
玄関から出迎えると、背の高く所謂気品のある男が頭を下げてきた。
切れ長の目には琥珀色の瞳。手先が綺麗で、誰がどう見ても美男子といえた。
もしやこいつがAさんの婚約者なのか。
「…いるにはいますが、一応顧客なので勝手に連れ帰られても困りますわ。」
ばつが悪いので、目を合わすことなくそう言うと、婚約者の男はまた頭を下げてきた。
「それは失礼。私は水戸直嗣です。藤沢Aの婚約者です。しばらく彼女が家に戻っていなかったので、探していたらここに行き着きました。」
「家にかえってないのか?」
「ええ。というのも、俺のせいでして。」
直嗣は俯き気味にそう言うと、俺も流石にそれを聞き逃すわけには行かなかった。
「少し待っててくれ。」
俺はそう告げると、奥にいるはずのAさんを呼びに行ったのだが。
なんともう居間には彼女の姿はなく、奥にある窓は開け放たれて冬の厳しい風が吹き込んでいた。
「…え?」
「…なんでいないんだ?」
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おちゃちゃ - 切なくていい話ですね。もう泣いちゃいました。 (2018年6月11日 23時) (レス) id: 687e689f52 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 空乙女さん» そう言っていただいて嬉しい限りです!まだまだ書き手としては新人なのですが、その言葉を貰うと自信が出ます(( 。ハイキューのやつも書いてたんでたまーに見てくださいね笑 (2018年3月5日 3時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
空乙女 - 切なくて悲しくてとても綺麗なお話ありがとうございました。表現法がとても綺麗で読み惚れました。ハイキューは私も好きです。これからも頑張ってください (2018年3月4日 22時) (レス) id: da52fc6dbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hikari | 作成日時:2018年1月10日 10時