【坂田銀時】いざよいの華-二-【銀魂】

理想郷 ページ20

江戸某所。真選組屯所。



『江戸第一道路の衝突事故。皆様は覚えているでしょうか。あれからもう三年が経ちます。』



真選組副長土方は、非番のために部屋で身体を休めていた。


たまたまつけたテレビには、自分が担当した事故の特集が組まれていた。



白い服を着たアナウンサーが、淡々と話すその事故。


三年前とはいえ、土方の頭にはまざまざと残っていた。


被害者は結婚間近の男女二人だった。救急隊が救助したとき、生存していた女の方はむせび泣きながら新郎だろう男の亡骸を抱いていたという。


そして女自身もエアバッグや衝突事故の衝撃により、二度と耳が聞こえなくなった。



その二つを取っても悲惨な大事故だった。



加害者だった男は居眠り運転をしていた。連続の深夜勤務に疲労が溜まっていたのだ。



加害者執行猶予付き懲役十年。会社からもクビになったという。



もはや誰が悪いのかとも分からなくなったその事故は、自身も車の運転をする真選組隊士の心の中に深く刻まれた事故である。



『三年経った今、当時結婚間近であった被害者の女性はどうしているのか訪ねました。』



テレビを聞き流していた土方はその文言を聞くと途端にテレビに齧り付くように見つめた。



『…《___テレビ大江戸のワイドファイブのものですです。藤沢Aさんはいらっしゃいますか？》

電話で尋ねたところ、入院先の病室には既に別の男性が入院していました。

そこから足取りを辿っていくと、衝撃の現在がわかりました。』

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