優包日 ページ17
「銀さああん!!」
「銀ちゃああん!」
急な容態異変で治療室まで運ばれたAは、そのまま二時間は出てこなかった。
吐血してそのままの掛け布団は白かったはずなのに、大胆に真っ赤な色に染まっている。
様子を知った二人が、戻ってくる頃にはその色も変色して茶色がかったものへと。
俺は声を出すことも嫌になった。
(わかっていたのか、あいつは。)
わかっていて、それでいて、何でもないのに俺の名前を呼んだのか。
(俺は何をすればよかったんだ。)
正直何を考えても悪い方へと結末が進むということしか思い浮かばない。
脳みそのみならず心臓ですら壊れているのだから、もう希望は薄いのだろうか。
「Aさんが急変したって…!!」
「本当アルか?!」
染み付いた血を見て、二人はうわ!と大きな声を上げた。
「そ、それ…Aのアルか?!」
「…ま、まさか…!」
「ああ。突然吐血してな。…今日がヤマだとよ。」
Aには親がいない。随分と前に死んだ。
だから俺はあいつの世話係だ。
側にいるのが辛いのに、どうしていつもこうなるんだろう。
新八と神楽は俺の言葉に震えていた。
「じゃ、じゃあ…!」
「死ぬかもしれねえ。」
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おちゃちゃ - 切なくていい話ですね。もう泣いちゃいました。 (2018年6月11日 23時) (レス) id: 687e689f52 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 空乙女さん» そう言っていただいて嬉しい限りです!まだまだ書き手としては新人なのですが、その言葉を貰うと自信が出ます(( 。ハイキューのやつも書いてたんでたまーに見てくださいね笑 (2018年3月5日 3時) (レス) id: c3febc506b (このIDを非表示/違反報告)
空乙女 - 切なくて悲しくてとても綺麗なお話ありがとうございました。表現法がとても綺麗で読み惚れました。ハイキューは私も好きです。これからも頑張ってください (2018年3月4日 22時) (レス) id: da52fc6dbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hikari | 作成日時:2018年1月10日 10時