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四五、思うからこそ伝えられない ページ47




「……別人みたい」


そんな彼を見ながらAはそう呟く


__今の彼には話しかけてはいけない


Aはそう思いながらも
遠くからずっと土方を見ていた


「そんな目でみるくらいなら
 見送りでもしたらどうですか?」
「あっ…」


ふと声をかけられ
振り向くと見覚えのある男がたっている
彼はいつぞやの浪士から
斬られそうになったときに
居合わせた男だった


「ご挨拶が遅れましたね。
 私は新選組総長の山南敬助と申します」


物腰柔らかそうな山南に
Aはにっこりと笑う
山南は今一度土方をみると、言葉を続けた


「土方君は人が変わるでしょう?」
「山南さんもそう思いますのん…?」
「えぇ。彼は一度刀を握らせると、
 顔付きから変わりますからね」


鋭い目付きで隊を見ている土方を見ながら
Aは少しだけ悲しそうな顔を浮かべた


「土方君はとても運の強い方なので
 今回も無事に戻ってくるとは思いますが…、
 誰かが帰りを待っている、
 というのは
 少なからず力になると思いますよ」
「そやけど、戦に集中してるのみたら…」
「……そうですか」


山南は静かに笑みを浮かべる


「あーあ、行っちまった」


寂しそうに呟く藤堂の視界には
遠ざかっていく浅葱色の羽織が映っていた


「(行かないで…
 て言えたらどれだけええやろ…)」


Aもそんな彼らの背中を見つめながら
胸の奥でそう感じていた


____
__


「千枝」

同日
千葛が薩摩藩邸の一角にある鬼たちの部屋に
遊びに来ていた


「姉様…」
「調子はどう?」
「はい。お陰さまで」


そう、と千葛は微笑む


「なかなか義姉上のことは掴めないわね」
「…申し訳ありません…」
「あら、違うわよ。
 皆掴めてないのにどうしてお前が謝るの?」


おかしな子ね、と千葛は笑った
初霜兄妹達は
未だに義理の姉の行方を掴めずにいた
どれほど探しても
手がかりのひとつも掴めないのだ


「頭領だから、って
 中々探しにいけなかった兄様でさえ
 出てくるのだから…
 何とかしてあげたいのだけど…
 中々うまくいかないわね。
 兄様、気苦労ばかり増やしてる気がするわ…」
「姉様…私が至らぬばかりに…
 綱道を取り逃がしたことをお許しください…」
「…変若水の研究…ねぇ」


千葛は頭を抱えていた


「私たちも迂闊だったわ…。
 仙丹のことが知られていたのに…
 あの日逃げるのに必死で
 記録書をおいてきていたのよ
 あれを人間側に奪われていたなんて…」



____



_

四六、夜明け→←四四、対新選組


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設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 新選組   
作品ジャンル:恋愛
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作者ホームページ:http  作成日時:2020年4月16日 16時

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