三九、姉の願い ページ41
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ハッとして振り返ると
そこには姉の千葛が立っていた
「姉様…」
千葛は白藍色の着物に梅紫色の羽織を
袖を通さずに肩から羽織っている
その髪は煌々と照らされて
白銀の髪に纏う真珠の髪飾りが輝いていた
「あの人が嫌い?」
「……」
千枝は口を紡いだ
人間に深入りするなと怒られる
そう思ったのだ
「せっかくのお友達を
取られたと思ってるの?」
ハッとして姉の方を見ると
彼女は風に気持ち良さそうに当たりながら
自身に笑みを向けていた
「大丈夫よ、取られた訳じゃないわ。
友情と恋は同じ秤には乗せられない
互いにかけがえのないものよ」
そうして千葛は千枝の傍による
「この先もし、彼女の想い人と
お前の面倒を見てくれているあの人が
対立関係になったとしても
女は戦にはでないのだから…
その友情は消えたりしないわ」
それに、と彼女は続けた
「人間の戦に深入りするほど
あの人は馬鹿じゃないわ。
確かに私はあの人が嫌いだけど…
西国一の鬼の頭領なだけあって
考え方は悪くないし…
十分な器の持ち主だと思ってるのよ。
だから、いくらあの人でも
土方さんと対峙することなんてないわよ」
千葛はそう言うと千枝をみて優しく微笑む
「ねぇ姉様」
「なぁに?」
「姉様は…どうして風間様が嫌いなの?」
その言葉に千葛はそうねぇ
と困った顔を浮かべた
「……愛してくれなかったからよ」
「…愛して…?」
「…憧れてるの。恋に」
千葛は月を見つめながら続ける
「誰かに愛されて、私もその人を愛して、
そんな恋をして、その人と添い遂げたいの。
だからいくら好条件であっても
愛のない結婚は嫌だったのよ」
「……そうですか」
「あの人は確かに不自由のない生活を
与えてくれるでしょうね。
きっとそれなりに
大事にしてくれるとも思ったわ。
でも…何かが違うといつも思っていたの…。
風間様には申し訳ないけれど…」
だからね、と千葛は千枝をみた
「恋をしている子の邪魔なんてしたら駄目よ」
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作者ホームページ:http 作成日時:2020年4月16日 16時