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三、吉田屋 ページ5





「江戸のお侍はんは……
 料理が気にくわなければ人を殴るんやな…」
「お金も払わんと…ほんに……ほんに……っ」


あとで聞いた話によると
なんでも芹沢、新見、その他多数が来て
注文された通りに出したが


「客を待たせ過ぎだ」
「味が薄い」
「こんなものに金を払うかちはない」


といわれたので、女将がたまらず言い返すと


「京を守ってる相手にいう言葉ではない」


などと店を荒らしたというのだ


「壬生狼…絶対許さへん……」



Aは強く壬生浪士組を憎み
そしていつの日か必ず反撃をしてやると
固く心に誓った



__それから三月ほどたった頃


「なぁ聞いた?」
「大坂のやろ?」


町ではあることが噂になっていた


「なんでも
 吉田屋の芸妓の髪を切り落としたとか…」



大坂・新町にある遊廓“吉田屋”で
気に入った芸妓を呼んで遊んでいたが
この際に帯を解けというと拒まれ
それに立腹して髷を切ったのだという


実際に切ったのは
新選組副長の土方歳三という男だった


その話は京にも知れ渡り
既にAとお雪の耳にも届いていた



「芸妓の髪切るやなんてどうかしてはるわ。
 そもそもから脱がんやったからて…横暴や」
「ほんまや…」

二人が話していると
調度巡察をしていた新選組と出会した
彼らを見つけた町民は皆
白い目で彼らを見る


それは二人も例外ではなかった



___
_



「これはこれは初霜のお嬢さん」


その夜、
真っ白な着物を身に纏った女が歩いていると
闇夜に紛れて
どこからともなく声が聞こえてきた


「……綱道、お前を探していました」


女がそういうと綱道
と呼ばれた男はにぃっと笑いながら近づく

「薬の研究をしてるそうね」
「えぇ。
 かつてあなたの一族が
 真の鬼に敵うために使った【仙丹】
 あれを改良した甲斐がある」


その言葉に初霜の女はぴくりと反応した


「それはどういう意味で?」
「失礼。
 酒呑童子の正統な血筋である初霜家を
 侮辱したわけではありません」
「確かに私の一族は一度“はぐれ鬼”となり
 その後にその他の一族と争い
 その際に仙丹は使用致しました。
 ですが……仙丹はその後
 鬼一族から禁忌とされたものです」


その言葉に何をいうのですか、と綱道は言う


「今こそ鬼の世を立て直すときです。
 あの日の悲しみと怒りを
 忘れたわけではないでしょう」


その言葉に初霜の女は下を向いた


「これは警告です。
 “所詮は紛い物”、
 鬼の道を踏み外す前にやめるべきです」



____


_

四、人斬りの集団→←二、壬生の狼


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設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 新選組   
作品ジャンル:恋愛
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作者ホームページ:http  作成日時:2020年4月16日 16時

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