三四、動きだすもの ページ36
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「池田屋の日
長州の奴等が人払いをしていてな
至るところに
仲間を潜ませていたはずなんだ」
「…そうですか」
銃口を向けられているが彼女は
微塵も焦った様子はなく
余裕の表情で口角をあげていた
「だがどういったわけか
新選組に場所が見つかり、乗り込まれた」
「災難でしたね」
「おいおい。しらばっくれるなよ」
お玉は笑顔のまま無言を貫く
「俺も情けがねぇわけじゃねぇ。
その綺麗な顔に傷をつけたくねぇしな」
彼女は何も答えない
「聞いたぜ。
新選組に手を貸してるらしいな?」
「それが何か」
「あの日、
お前が新選組に言ったんじゃねぇのか?
__何を考えてんだ?」
するとお玉はフフっと笑った
「さて、何のことだか」
そういうと不知火に振り返り
彼の腕にそっと触れると
そのまま銃口を下に向けさせる
「貴方が長州に手を貸しているのも
聞いています。
ですが鬼が人間同士の事柄に左右され
争うものではありませんわ」
そういうと彼女は何事もなかったかのように
その場を立ち去った
___
「あ、土方さん、来ましたよ」
屯所では沖田が土方に
屯所の入り口を指しながらそう声をかける
「〜〜っ!」
ニヤニヤと笑う沖田に
土方は苛立ちを露にしながら入り口へ
と向かった
「あのなぁ、ここは新選組屯所なんだ。
そう簡単に女にこられちゃ
困るんだよA!」
と、怒鳴ったところで土方は動きを止める
「おはようさんどす、土方はん…」
「……お玉…さん…」
門前にいたのはお玉だった
にこにこと笑っている彼女に
土方も拍子抜けしたままである
「珍しく呼ばれましたさかい
来たんどすけど…
なんや朝から険しい顔どすなぁ。
どないしましたん?」
「いや……」
「あの子と思ったんですよね?」
「総司!!!!」
冷やかす沖田に対して
土方は目を見開いて怒っていた
「図星だったんですね」
「てめぇ!!」
今にも刀を抜きそうな土方をみて
彼女は袖を口元に当てて問いかける
「聞きましたえ?
なんや可愛らしい娘はんに
抱きつかれたんやてなぁ?」
「……っ!」
何とも言えない顔で
勢いよく振り向く土方に
彼女はころころと笑い転げた
「いやぁ、よろしおすなぁ」
「お玉さん…いくらあんたでも…」
「まぁまぁ土方さん。
あんな往来で泣きつかれたら
有名にもなるって」
なだめるように入ってきたのは原田である
「……っ」
悔しいのか、恥ずかしいのか
土方はついに身を翻してしまった
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作者ホームページ:http 作成日時:2020年4月16日 16時