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三一、日の出 ページ33




「そんな…!」
「女鬼が来る場所ではない」
「私も鬼です…!」
「千枝殿」


咄嗟に天霧が二人の間に割って入る


「ここはどうか風間の意見に従ってください」
「……」


千枝は黙り込んでしまった


「お前はここで待っていろ。
 万一斬り合いになったとき、
 命を守れる保証はない」


いいな、と風間はその場をあとにする


天霧は千枝に向かって静かに一礼すると
その後を続いた



___新選組屯所では
隊士達が揃いの羽織に鉢金姿で整列していた
羽織の袖にはだんだら模様がある


千鶴はそんな彼らをみながらも
これからのことを考えると
落ち着いてはいられなかった


「動ける隊士はこれだけか」


目でざっと数を数える土方は眉を潜める
幹部を入れても三十前後だ


「申し訳ありません。
 怪我さえしていなければ…私も…」
「いや、山南君には留守を
 しっかり預かってもらわなくては」


そんな会話が行われるなか
列から少し離れたところの原田と斎藤が
ひそひそと話し始める


「こんな時
 あいつらが使えれば良かったんだがな」
「しばらくは実践から遠ざけるらしい。
 血に触れるたび、
 俺達の指示も聞かずに狂われてはたまらん」


うっかり聞いてしまった千鶴は
自分が新選組と出会った
半年前のことを思い出した


あの日出会った新選組の隊士は
白髪に目を赤く光らせ
甲高い笑い声をあげ
人々をめった斬りにしていた


千鶴はそれらに狙われたときに
斎藤、沖田、土方に助けられ、今に至る


「っ」


みがえる恐怖に千鶴は思わず耳を塞いだ


「会津藩と所司代はまだ動かないのか」
「何の報せもないようだよ」


井上の返答に土方は舌打ちをする


「確たる証拠がなけりゃ、
 腰をあげねぇってのか。
 ……近藤さん、出発しよう」
「だがまだ本命が
 四国屋か池田屋かわからんぞ」


腕組みする近藤に山南が口を開いた


「池田屋を頻繁に利用していたようですが
 古高が捕縛された夜に
 いつもと同じ宿を使うとは考えにくい。
 四国屋を本命と見るのが妥当でしょう」
「しかし池田屋の可能性も捨てきれまい」
「隊を二手に分ける。
 四国屋へは俺がいく。
 池田屋へは近藤さんがいってくれ」
「ならばこちらは十名で向かう」


その言葉に土方は驚く


「十名で!?
 …じゃあ総司、新八、
 平助を連れていってくれ」
「わかった。
 だが、こっちが本命だったときは頼むぞ」


近藤の言葉に土方は力強く頷いた



____


_

三二、池田屋事件→←三十、栄華のきっかけ


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設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 新選組   
作品ジャンル:恋愛
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作者ホームページ:http  作成日時:2020年4月16日 16時

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