二五、夢を叶えたもの ページ27
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嬉しそうに語る土方にA は目を細めた
「その夢、叶えたんやなぁ」
「……そうだな。やっとここまできた…」
Aは
生き生きとした目で話す土方の腰元をみて
微笑む
「今では刀を下げて
誰もが恐れる新選組の副長さん……
やなんて、ほんますっかりお侍はんやなぁ」
凄いなぁ、と呟くAの横顔をみて
土方も自然と笑みをもらしていた
「うち、土方はんのこと誤解してました。
夢を叶えるて、ほんま大変なことですやろ?
それを出来るやなんて…ほんまに尊敬します」
「まぁな。
何しろ漬け物投げつけるくらいだしな」
「それは堪忍!」
むっと怒るAに土方は笑っていた
「気に入らなければ
容赦なく人を斬る荒くれものの新選組…
そんな人達をまとめる副長さんなんて…
どんな鬼なんやろて、ずっと思てました」
そやけど、とAは笑う
「夢にまっしぐらで
他はとんと出来ひん不器用さんで…
それから…」
とAは続けた
「ちいとだけ怖くて、おこうこうが好きで
刀を持ってはったら鬼のように強うて、
持ってへんときは綺麗な顔の…
優しい男前はん」
そこで土方は驚いてAを見つめた
「どないしたん?」
「……お前が褒めるなんざ
明日は槍の雨なんじゃねぇかと思ってな」
「いけず!!!せっかく誉めてもこれやわ!」
ふいっとそっぽを向くAに
土方はそうだな、とそのまま寝転んだ
「お前にこんな話をするつもりなんて
無かったんだがな、
どうしたもんか…べらべらと話しちまう」
どき、とAの心臓がはねあがった
「そ、そうやの…」
「俺も誤解してたな。
お前は何の判断もなくいきなり喧嘩を売る
とんだじゃじゃ馬だと思ってたが……
人を放っておけない世話焼きで
正義感の強い女だ」
「根にもったはりますな」
「顔面に漬け物がついたことなんざ
生まれてこの方なかったからな」
「あれは堪忍言うてますやろ!
やっぱさっきのなし!
あんたはんはいけずやわ」
怒るAに
土方は笑いながらそうだな、と返す
「だが見上げた根性だったぜ。
人斬りの噂がある相手に
丸腰であの度胸は大したもんだ。
武士の嫁になりゃ
旦那に何かあっても
腹を据えて良い女だと言われるだろうよ」
「武士の…」
反芻するAに
土方は己が放った言葉の意味が
とんでもない発言だったと気がついてしまった
「あ、や」
あわてふためく土方に
Aも赤面したまま反対を向く
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作者ホームページ:http 作成日時:2020年4月16日 16時