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二四、昔話 ページ26




「話聞いてたん!?」
「あれだけでけぇ声で話してて
 聞こえねぇわけねぇだろうが」
「盗み聞きや!!」
「ふざけんな!!」


そうしてまたしても言い合い始まった


「大体よくわかんねぇまま
 大量に沢庵だけよこしてきやがって」
「人の厚意を何て言い草や!!
 そこは美味しいありがとう!
 ですやろ!?この鬼!!!」


しばらく二人は睨みあう


「……はぁ…」


と、そこで土方は
頭を抱えるようにため息をついた


「女相手に
 大の大人が子供じみたことしたかねぇよ……」
「……」


息が上がったままAが土方を見ると
土方はそんな彼女に向かって
視線をそらしながら言った


「沢庵…うまかった」
「……そらよろしおした」


拍子抜けしたAもぎこちない言葉を返す


しばらく二人に沈黙が続いたが
先にその沈黙を破ったのは土方だった


「行かねぇのか」
「え?」
「俺たちのこと嫌いなんだろ」
「……土方はん」


Aは土方を静かに呼ぶ


「あの時…堪忍な……」
「…いや、俺達こそすまなかった」
「ううん。あれは新選組言うだけで
 一くくりにしたうちが悪うおす」


そういうと深々と頭を下げた


「あない、いけずしたいうのに、
 怒らんとお金もかえしてくれはって
 おおきに。
 手拭いもおおきにありがとうさんどす」
「……お前に謝られると調子狂うな」


気恥ずかしそうに言う土方に
Aはクスッと笑う




「_ここは俺が昔いたところによく似ている」



と、突然土方はAにそう語りかけた
彼の目は河辺を見ながら
かつて自分が住んでいた多摩を
思い出しているようだ


「俺は百姓の出で
 武士に憧れて貧乏道場に通っていた」
「えぇ!?そうやの!?」
「あぁ。
 元々俺は生きていくために薬を売って
 その傍らで近藤さんたちと
 道場で稽古してたんだ」


いつの間にか二人は並んでそこに座っていた


「あの頃の俺は
 何一つまともにやりきった事がねぇ
 どうしようもねぇ奴だった」


土方は昔を思い出しながらAに語る


「農家を継ぐのは嫌。
 商い奉公もろくに続かずに飛びだして……
 食っていくために仕方なく薬を売って…
 そんな時に近藤さんに言われたんだ。
 “他にやりたいことがあるんじゃないのか”
 ってな」
「それがお侍はんになる、言うことやの?」
「ああそうだ。
 侍になりてぇ、って
 そう近藤さんとよく話したさ。
 あの人は俺と同じ夢を抱えてた…」



____



_

二五、夢を叶えたもの→←二三、思わぬ再会


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設定タグ:薄桜鬼 , 土方歳三 , 新選組   
作品ジャンル:恋愛
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作者ホームページ:http  作成日時:2020年4月16日 16時

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