十七、鬼たちの事件 ページ19
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その声に二人が同じ方向を向くと
そこには風間と天霧、千枝がいた
「千枝…!」
「兄様!姉様!」
姉妹が声をあげるなか
風間をみて男は近寄った
「風間…」
「久しぶりだな
「すまない…妹が世話になってる」
「構わん。貴様の家の事は知っている」
と、風間はお玉を見た
「新選組に関わったというのは本当か」
「えぇ。でもあなたには関係ないでしょう?」
「……まぁ良い」
風間はそう言うと話を変える
「お前達が数年前に京に行ったきり
消えたあの女を探している事は知っている。
戦嫌いの秋嶺が出てくる程なのだからな」
その言葉に秋嶺は動きが止まった
「……“百合”はあの日もただ出稼ぎにいくと
いつものように京にいった。
だが百合はそのまま帰ってこなかった……」
「お兄様が探しにいくと…
そこには義姉上はおらず…
義姉上の商売道具だった反物だけが
残っていた」
秋嶺は頭を抱えていた
「百合に窮屈な思いを
させていたからだろうか……。
文句の一つも言わなかった百合が家出など…」
「しかし不自然ですな。
家出と言うよりはまるで__」
そうですね、と天霧は続けた
「綱道に似ていると思いませんか」
その言葉に皆の顔つきが変わった
「数ヶ月前の火事の日
焼けたのは綱道の借家で
そこは跡形もなくなっていましたわ。
綱道自身の姿も行方が分からなくなり
新選組も困っているようです」
「でも…百合姉様は火事に巻き込まれては…」
「それはそうだが
京に来て行方知らずまでは同じだ」
その言葉に千枝は黙り込む
「お陰で許嫁である千葛には
家事情や百合の事を理由に
婚姻を破断させられたのだ。
俺も恨み言のひとつは言いたいところだが……
あの女の情報は
薩摩に手を貸す傍らで
調べているが今一つ入ってはいない」
風間の言葉に
お玉はそれは違いますわ、と笑顔を向ける
「私があなたと
一緒になりたくなかったのです」
「……ともかく…
俺は百合を必ず見つけ出すつもりだ」
「私も、何か手懸かりがあるのではないかと
新選組に近寄ったのですよお兄様」
「私も……同じです。
皆、それぞれのところから…
百合姉様の行方を探しているのですよ」
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「A」
夜更け
店仕舞いをした長崎のなかで
女将と店主が神妙そうな顔でAを呼んだ
「なぁに?」
「そこに座り」
促されるままAが座ると
二人は顔を見合わせ
そしてゆっくりと口を開いた
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作者ホームページ:http 作成日時:2020年4月16日 16時