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Story116 ページ42

残穢が少し気になった。あの几帳面な七海が、部屋に忘れていくことも腑に落ちなかった。


何よりこれは。


「この手紙さ。引き出しの二重底に入ってたんだ」
「二重底…?…ああ、そういえばありましたね。この手紙を見るのが辛くて、目に見えないところに保管して…」


そして卒業の時には、すでにこの手紙のことを忘れていた。ふっと目を伏せる七海に、悟はため息をつく。


「その様子じゃぁ、妄想にしても信じきってる感じだねぇ。…どうする?お前は、どうしたい?」
「私は」


決まっている。火傷の跡が残る左手で、手紙に触れた。生きろの文字をなぞる。


「あの自分勝手な人に説教をかましてやらなきゃ、気が済みません。どういうことかをきちんと説明してもらわなければ、納得なんてできるはずないでしょう」
「だよねー。ならまぁ、協力してやってもいいよ。でもなぁ。今の話を真実とするなら、存在抹消ってことなんだろうし…権力や金なら痕跡は残る。呪術でそれをやられたら、流石に」
「呪力の残穢は残っていました。私も、なぜか思い出した。なら方法はあるはずです。それを探します」
「七十億人の人間が生きてるこの地球で、たった一人を見つけ出す?正気じゃないね」
「大丈夫です。私には彼女の記憶がある。彼女の顔も、声も、温もりも、全て覚えている」
「…そっか。じゃぁ情報ちょうだい。俺の妹ってんなら、顔、似てんでしょ?」
「ええ、ムカつくほど似ていますね。…似顔絵を描いたら、送ります」
「オッケー」


それじゃ、と悟が立ち上がった。七海も立ち上がり、頭を下げる。


「わざわざありがとうございます」
「珍しいね、お前が素直に礼を言うなんてさ」
「貴方のこと、お義兄さんとは呼びたくないですが、そのうちそうなりそうです」
「うっわ、今すんごいムカついた。なんだろう」
「それでは、作業に取り掛かりますので」
「はいはい。ちゃんと食事するんだよ」


(じゃーねー、と軽く手を振って、消える)
(彼を見送り、私は)
(書斎へと)

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灯霧(プロフ) - 森さん» 応援ありがとうございます!また七海夢書くと思うので宜しくお願い致します! (2022年2月28日 0時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
- YouTubeのはきっと、千葉茉吏衣というアイコンの人だと思います。 これ面白かったです❗応援してます‼ (2022年2月25日 0時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
福寿茶寮(プロフ) - 灯霧さん» YouTubeでも似たようなコメントをみた事がありまして,もしかしてと思ったのですが,そうだったんですね…。 ありがとうございました。 (2021年12月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 998ae028aa (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 福寿茶寮さん» 申し訳ございません!私が気づいてなかったばっかりにご不快な思いをさせてしまいました。報告し非表示にしてあります。あの人はどこの七海夢にも出没するアラシみたいなものです。今後も見つけ次第非表示にいたします。お手数をおかけいたしました…! (2021年12月22日 15時) (レス) id: 659f7a97b9 (このIDを非表示/違反報告)
福寿茶寮(プロフ) - マリイ(七海建人の嫁)さん» 変な事書くのやめて下さい。 (2021年12月22日 11時) (携帯から) (レス) id: 998ae028aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2021年8月3日 16時

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