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でも、いつか苦しさで一杯になる時は来るわけで。
私は、透のとこを、
『顔がいいから付き合ってみたけど、ボーダーばっかりで旅行にもいけないしつまんない。別れよう。』
そう言って振った。我ながら酷いと思う。
そんな私に、透は、
「俺も最初から好きじゃなかったから丁度いい。別れるか。」
って、酷い言葉を返された。まぁ、私の自業自得なんだけどね。
私が綺麗な別れ方をしたら、優しい透はこんな言葉言わなかったのかもしれない。
でも、今でもうっすら記憶に残る、あの時の透の泣きそうだった顔。実は私のことちょっとは好きだったんじゃないかな、なんてね。
そんな透に言われた酷い言葉も、照れる顔も、透を好きだった私も、いつか思い出せなくなって、過去になるって思ってた。
透じゃなきゃダメで、透が思うより透を想っていたと思う。別れて以来、どれだけ泣いた日があるか数えきれないのに。
別れてから、高校2年生と3年生は違うクラスで、全く交流がないまま大学に進学して。もう忘れて次の恋に進めると思ってたのに。
なんでよりにもよって生徒が少ないこの科目取ってるのよ。
そんな過去を思い出しながら嘆いていると、いつのまにか90分の講義が終わって教室に残るのは、透と私だけになっていた。
まずい。
「まさか、逃げようだなんて思ってないよな?」
教室前方から聞こえてくる、冷ややかな声。それは紛れもなく透のもので。
まるで錆びているかのように首をグギギギギと回し、透と目を合わせる。
現実逃避をしたくて、久しぶりだなぁ目が合うの、だなんて場違いなことを思った。
「おまえ、よくこっぴどく振ってくれたな。
その癖、俺のこと好きだとかぬかしてただろ。
別れたかった理由、本当は違うって聞いたんだが?」
『もう2年くらい前の話でしょ。今更蒸し返さなくたって良くない?』
ほら、また。可愛くない返事。付き合ってる時だってこうだった。
「よくないからこうして話しかけているんだろう。
宇佐美から聞いた。
俺のこと好きなのに自分が嫌われるように仕向けて別れたってな。」
栞ちゃん!!!言っちゃったの?!確かに、栞ちゃんとは仲が良くて、透のことを好きになった時も、別れて泣き腫らしてた時も話を聞いてもらってたけど。
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Alice - 続きがとても楽しみです。更新頑張ってください!ずっと待ってます! (2023年3月21日 15時) (レス) id: 37c62558af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:...syokatsu... | 作成日時:2022年2月15日 3時