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『エイリア石同士が共鳴する力を利用するんだ。Aを見つける方法は、もうこれしかない』


駅へと向かうバスの中で、不動さんは電話越しにそう言った。


雷門中の屋上でエイリア石を手に入れたおれは、バスに乗って再び駅へと向かっていた。

野坂がGPSを解析した情報によると、Aは駅周辺を移動し続けているらしい。


『ただ、エイリア石の力を使うってことは、どういうことかわかるな。下手したらお前も力に呑まれることになる』


おれはごくりと唾を飲んだ。


『最悪、お前もどっかから飛び降りて、死ぬことになるかもしれない。それでもいいなら、やれ』


つまり、強大すぎる力を使うことって、そういうことだ。大きな力には、大きな代償が伴う。

それをわかっていて、Aはこの力を使った。それがどんな覚悟だったか、今ならわかる。


おれは巨大な力を前にして、震えていた。


『ヒロトくん、今からぼくも駅に向かうから、そこで一旦落ち合おう』


野坂が口を挟む。


「あ? なんでだよ」

『そこでエイリア石をぼくに渡して欲しい。力は、ぼくが使うよ』

「はあ? それじゃあ時間のロスになるだろ、そんな暇――」

『こんなの、あまりに危険すぎる。実際に力に呑まれた例があるのに、そんなことさせられないだろう』


野坂はさも当然のように話す。おれは少し頭にきた。


「だからって、なんでてめえがやることになんだよ。てめえは力に呑まれねえとでも言いてえのか」

『そうじゃない、だた、危険に身を曝そうとする友人を黙って見過ごせないだけだよ』

「うるせえ、おれがお前を危険な目に遭わせるのが平気だとでも思ってんのか」


おれはこいつのこういうところが気に食わなかった。まるで自分はどうなってもいいみたいな口振りで、おれのこと見くびってんのか。


「エイリア石はおれが使う。てめえは引っ込んでろ」


お前がおれにさせたくないって言うなら、おれだって同じだ。


『でも……』


珍しく野坂は食い下がる。


それと同じくらい、おれの中には、Aはおれが見つけるっていう、意地みたいなものがあった。

だからこれは、絶対に譲れない。


『ヒロトがやるって言ってんだ。こいつの覚悟、お前も認めてやれ』


不動さんの声がする。それから少し沈黙があった。


『……わかりました』


野坂の声は、微かに震えていた。

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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…! (2021年7月5日 16時) (レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます!丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました!個人的には甘くない終わりにくそぅ!と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください!応援しております! (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました!大好きな作品です!完結おめでとうございました! (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした!!!!大好きです!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2019年8月22日 20時

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