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scene254 ページ4

「ちょっと待っててくれ」

『ああ、わかった』


右手を下ろして、今度は左手に持ったスマホを耳に当てる。


『今から地図を送るから、それを見て欲しいんだ』


すぐに野坂からメッセージが届く。添付された地図を開くと、先程までいた駅周辺のマップが表示される。


『GPSの誤差はおよそ半径百メートル、赤い円で示してある。ここまでは絞れたんだけど、あとは足で稼ぐしかないね』

「駅の周りなんて人だらけじゃねえか。そんなとこ、どうやって探すんだよ」


人を隠すなら人の中ということか、だれもいない場所より、見つけにくいかもしれない。


『エイリア石を使って探すんだよ』


それは不動さんの声だった。


「エイリア石を……? どういうことですか」

『向こうの世界のやつと繋がりがあるんだろ、そいつから石をもらえ。詳しい説明はそれからだ』


なぜ不動さんがそのことを知ってるんだ、野坂が話したのか?


おれは訳も分からないまま右手のスマホに話しかける。


「お前、今エイリア石持ってるか」

『うん、持ってるけど』

「それ、おれにくれないか」

『いいけど――』

「じゃあ、それ持って今すぐ屋上に来い」

『え、屋上? なんで……』

「頼む、急いでくれ!」

『よ、よくわかんないけど……わかったよ』


おれの声がよっぽど切羽詰まって聞こえたのだろうか、相手が聞き入れてくれた。こいつにはいつか礼をしないと。


『今、電話繋いでるの?』


左手のスマホから野坂の声がする。


「ああ……今、屋上に来てもらう」

『そっか、その人には今度お礼をしないとね』





一度野坂たちとの通話を切って、おれは向こうのやつが屋上に到着するのを待つ。

しばらくして、スピーカーから声がする。


『着いたぞ、次はどうすればいい?』

「給水塔に登ってくれ」

『わかった』


おれは給水塔の下で待つ。本当にうまくいくのか、半信半疑だった。


『登ったぞ』


おれは闇の中にあるはずの給水塔を見上げる。

そこにいるはずだけど、姿の見えない相手に話す。


「……本当にもらっていいのか?」

『なんとなく捨てずに持ってただけだから、必要ならお前にやるよ。この石、今はなんの力もないしな』

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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…! (2021年7月5日 16時) (レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます!丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました!個人的には甘くない終わりにくそぅ!と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください!応援しております! (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました!大好きな作品です!完結おめでとうございました! (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした!!!!大好きです!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2019年8月22日 20時

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