scene98 ページ48
電源を入れると、画面が光った。
「あ、点いた」
「人のスマホ勝手に見ちゃいけないと思うな」
「お前が言うな」
だんだん野坂の小ボケに対応できるようになってきたな。
「あー、パスかかってるな、当然だけど」
数字が表示された画面を見て言った。
「どうにかして開けられないかな」
それからおれと野坂はロックを解除しようと奮闘を始めた。
Aの誕生日とか、イナズマジャパン全員の背番号を足した数字とか、思いつく限りの番号を入力してみたが、どれも正解じゃなかった。
「うーん……無理そうだね」
さすがの野坂もお手上げのようだ。
「不動さんもこれを探しにきたってのは?」
「どうかな……そもそもなんのために来たんだろう。ぼくたちと同じように、Aちゃんの手がかりを探しているのかな、不動さんも」
「Aのこと気にかけてたみてえだし、なくはないんじゃねえの」
野坂は黙って考え込んでしまった。
こうなったらなに言っても無駄だろうし、おれは部屋の探索を続けることにした。
なんていうか、思った以上になにもでてこない。めぼしいものは、それこそスマホ1個くらいだ。
事務所の寮に住んでいたらしいし、大事なものとかはそっちに置いていたのだろうか。
「探しにきたものが、既にここにはなかったんじゃないかな」
「あ? あー……、不動さんがな」
「なかったから、なにも持ち出さずに出て行ったんだ」
野坂がじっとおれの目を見つめる。
「でも、それがなにかわからねえんだな」
「そう。そして、なんのために持ち出そうとしたのか……」
「ここにないとしたら、事務所の寮にあんじゃねえの」
「そうかもしれない。そっちは西蔭に任せよう。事務所に出入りさせているうちに、多少顔が利くようになったみたいだからね」
西蔭ってなんていうか有能だよな。
「あと、これは一応持って行こう」
野坂はAのスマホをポケットに入れた。
「勝手にもっていっていいのか?」
「大丈夫だよ。万一なくなっていることに気付いた人がいたら、その人が怪しいってことがわかるし」
・
一通り探索を終えると、野坂が「そろそろ終わりにしよう」と言った。
思ったより時間がかかってしまった。二人揃っていつまでも食堂に来なかったら、みんなに怪しまれるかもしれない。おれたちは急いで食堂に向かうことにした。
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります! (2019年2月17日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...?色々想像できて楽しいです!頑張ってください! (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します!!もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか!?アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています!! (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです!続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています! (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年2月8日 17時