scene97 ページ47
おれはそこまでの覚悟ができていなかったんだ。でも野坂は……。
自分がしていることがどういうことか、きちんと理解した上で、覚悟を決めているんだ。
おれたちはAが見られたくない領域に土足で入り込んで、Aを辱めようとしているのか。
知りたいという、おれたちの身勝手な欲求を満たすために。
「でも、少し安心したよ」
野坂は小さく微笑む。
「どうやらぼくは、ためらいというものを失くしてしまったみたいだからね、ときどきヒロトくんがそうやって止めてくれると、ぼくとしてもありがたいよ。そういう人が側にいてくれないと、いずれは超えてはいけない一線を越えてしまうことになりかねない」
「そういうのは西蔭の役割なんじゃねえの」
「西蔭もそうだけど、僕はこう見えて、結構ヒロトくんのことも信頼しているんだよ」
この言葉は信じてもいいのだろうか。
「きみになら、火傷の痕も、まあ見られてもいいかなって思ったんだ」
「なっ……」
「ずいぶん驚いていたね。なかなかおもしろい顔をしていたよ」
うるせえ、気付いてたならさっき言えよ。
「ヒロトくんが良心を痛めるというのなら、部屋の探索はぼくひとりでやるよ」
「うるせえ、おれもやる」
野坂にだけそういう役回りを押し付けるのは不本意だった。おれもいい加減、覚悟を決めなくてはならない。
野坂がおれを信じるというのなら、その心意気に答えなくちゃならない。
「ヒロトくんって、存外やさしいよね」
「うっせえ、手動かせよ」
ちらっと盗み見た野坂の横顔は、なんだか嬉しそうだった。
・
おれと野坂は手分けしてAの部屋を探索していた。
引き出しからベッドの下まで……そこにはなにもなかったけど。やるとは決めたものの、やはり申し訳なさが芽生えてくる。
「つっても不動さんがなにか持ち出していたとしても、わかんねえよな」
「いや、特になくなっているものはないね」
「なんでわかんだよ！」
「やだな、冗談だよ。さすがにぼくもAちゃんの持ち物の全てを把握しているわけじゃない」
「お前の冗談はわかりにくいんだよ……」
おれが顔をしかめると、野坂は「それ、西蔭にも言われたよ」と笑う。
なんか少し西蔭の苦労が分かった気がする。
「あ……、野坂これ」
一番下の引き出しを開けると、ピンク色のスマホがでてきた。
「これは……、Aちゃんが普段使っていたものとは違うデザインだね」
「前に使ってた機種か？」
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年2月8日 17時
