子供１２ ページ12
〜銀時side〜
Aが好きだ。
それは、家族的にも、恋愛的にも。
あいつは特別な存在だから、俺が護ってやりたい。
俺だけがAを護れると思っているし、それが正しいとまで考えている。
つまり、俺はAに依存している。
そして、誰よりも大切にしていた。
だから、制御出来ないものは他の女にぶつけていた。
よくある事だ。
戦闘後、興奮が収まらず何かにぶつけなきゃやりきれねぇというもの。
その興奮を、Aにだけはぶつけたくなかった。
傷つくのが目に見えて分かるし、何よりあいつはまだ十六だ。
だから、俺は高杉に教えて貰った店に通うことにした。
強く甘い匂いに、はしたない声。
一瞬だけでもAを忘れるように、想いを押し殺し女を抱いた。
けど、女に重なるように見えたのは、顔を赤らめ恥じらい、俺の下で鳴くAで。
結局俺は、Aじゃなきゃ意味がねぇことに気づいたのだった。
だからと言ってAを押し倒す訳にもいかねぇ。
己の中に潜む野獣がAの前で目を覚まさぬよう、その店に通い続けたのだった。
ある日、勝利を収めまたその店に行った時。
いつもの遊女が珍しく口をきいた。
「あんた、惚れてる女がいるね」
煙管に火をつけ、ふうっと妖艶な唇で煙を吐く。
死んだ目で見てやると、遊女は笑った。
「ただの遊女の独り言でありんす」
チッと舌打ちをし、店を出る。
口出ししてくんじゃねぇ。
惚れてるなんて、自分が一番良く分かってらァ。
冷たい夜道の砂利を蹴飛ばしながら歩き、空き家へ。
…いつまでこんな事するつもりだ。
靴を脱ぎ捨て、Aが寝ている部屋へ足を進める。
そっと障子を開ければ、静かな寝息が聞こえた。
布団を綺麗に敷き、首元まで掛け布団をかけている。
そばまで行き、胡座をかいて座った。
長いまつ毛に、綺麗な唇の形。
十六とは思えない、大人びた顔立ち。
どんな女よりも綺麗だ。
俺は、そっとAの前髪にキスを落とした。
「んんっ…」と寝言を言い、寝返りをする。
自分とは反対側へ顔を向けてしまったので、そのまま立ち上がり、その場を後にした。
その次の日に、遊女の元から帰ってきた俺にどこに行っていたのかとAに問いつめられる。
強く言い放ってしまい、珍しく喧嘩のような雰囲気になる。
そして少し距離を置いてたら、Aはいけ好かねぇ若い男に詰め寄られていた。
「手ェ出すんじゃねぇぞボンクラ。こいつは俺んだからな」
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作者名：お茶
| 作成日時：2019年11月8日 23時
