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先生44 ページ44

理解が出来なかった。

その言葉の意味は昔から知っているはずなのに。

誰に向けられたものなのかも、どんな思いで言われたのかも。

一瞬、頭が真っ白になった。


「Aのことは応援してる。それは今も変わんねぇ。けど、少しでも可能性があるなら俺にしろィ」


真っ赤な瞳はぶれることなく、私を見つめる。

総悟…。


「わ、たし…」


「帰るぞ」


自分でも何を言おうとしたのか分からなかったかが、その言葉遮られ、無理やりでも優しく立たされた。

そのまま職員室へと行き、私が早退することを担当の教師に伝える。

総悟は授業に戻れと注意されてしまい、代わりに担任の坂田先生が呼ばれた。


「ありがとな沖田。後は俺が送ってくから心配すんな」


「あんたにお礼言われても嬉しくねぇでさァ」


鋭い目で先生を睨み、総悟は階段をのぼった。

隣に立つ先生を見ると、何を考えているか分からない瞳の色をしていた。


「うっし、じゃあ行くか」


先生はそれだけを言うと、私の手を掴み歩き出した。

触れるだけでも私の胸は熱くなり、泣きそうになる。

色々なことが起きすぎて混乱する。


「あ、あの先生、私元気だから授業出れますよ…」


「一時間くらいいいじゃねーか。担任がオッケー出してんだから遠慮せず早退しとけ」


教員用の駐車場に着き、先生が助手席のドアを開けてくれた。

そっと座ると、ほのかに煙草と先生の匂いがして。

隣に先生が座れば、さらにその匂いが増した。

どうしよう…こんな距離で家までなんて…。

心臓は持つのだろうか。


「道案内、よろしくな」


エンジンの音と先生の声でハッとなり、勢いよく首を縦に振った。

そんな私の姿を見て、クスッと笑う先生。

総悟に告白されたのに。

彼への返事を考えなきゃいけないのに。

私の心は、浮かれてる。


「そこ、右です」


「りょーかい」


ふわふわとした感覚のまま、先生に帰宅までの経路を教える。

それ以外の会話はなくて、私は窓の外をずっと眺めていた。

徒歩で登校しているわけだからそんなに距離はないけど。

少しでも先生と一緒にいたいなんて思ってしまい、悪い私はわざと遠回りに教える。

気づいたら、先生はどんな顔するのかな。怒る、かな。


「なぁ」


「は、はい!」


ビクッと肩を揺らし隣の先生を見ると、彼は冷静な目で真っ直ぐと運転を続けていた。


「沖田と、やっぱ付き合ってんの?」

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チャリ愛用者。さん» チャリ愛用者。様、いつも素敵なコメントありがとうございます!自身の体験と重ねてくださったそうで...!凄く嬉しいです!!素敵な恋ですね!!応援しています!!! (2018年10月24日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 現実はそう簡単ではありませんがねw 長文失礼しました (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
チャリ愛用者。(プロフ) - 【子供扱い】を読んでいるので、お茶さんの他の作品も見てみようかな......。と思ってみにきました。何回読んでもニヤケが止まらないです(笑)今私には好きな人がいるのですが(急にどうした)、その人とよく目が合うので、その時のことを思い出しました......! (2018年10月22日 11時) (レス) id: d4fafb716a (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 涼竜さん» 素敵なコメント、本当にありがとうございます!胸キュンしていただけるなんて...光栄です(TT) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
涼竜(プロフ) - めちゃめちゃめっちゃ良かったです...笑 久々に胸キュンでした、ありがとうございます(*´ω`*) (2018年9月6日 23時) (レス) id: 6981c5c6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年3月24日 3時

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