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アサガオの花言葉 14 ページ14

「...悪くねぇ」


そっと、晋助が微笑んでそう言ってくれた。

キュンと胸が鳴る。

...な、何今の感じ。


最近、晋助が笑ったり褒めたりしてくれると胸が痛くなる。

知らない感情が私を襲ってくるのだ。


「こっち来い、ご褒美やるよ」


手招きされ、素直に指示に従って彼の目の前に立った。

そうすると彼は立ち上がり、腰に腕が回されキュッと距離をさらに詰められる。


「A」


え...?

初めて呼ばれた名前に困惑すると、唇を塞がれた。

最初からそれは激しく、しつこく舌が絡み合う。


「いい顔するようになったじゃねぇか」


はしたなく銀の糸が引くと同時に、色っぽい瞳を向けられる。


「...どうして晋助は私にキスをするの」


ずっと疑問に思っていたことを口にすると、晋助は目を見開く。

少し目を伏せると「さぁな」と言ってまた私にキスをするのだった。





キス以上、なにもない。

何も無いから、欲が満たされない。

いつしかそんなことを思うようになっていた。

これが人間なのだろうか。

やはり体を重ねることが、最大の欲求になるのだろうか。

そんなことを思ってしまう自分に嫌気がさし、隣で寝る晋助を起こさないようにそっと布団から出た。

とぼとぼと歩き、ぽつんと夜空に浮かぶ月を眺める。


ここを離れたいと思ったことは一度もない。

閉じ込められている自覚がないからなのかもしれない。

...晋助がいるからかもしれない。

その事実に思考が直面すると、途端に胸が苦しくなった。

締められるような強い感覚に一人戸惑う。


ふと、振り返って晋助の寝顔を見てみた。

女のような綺麗な顔立ち。

その姿を見ると余計に胸が高鳴って。

...分からない、この感情の名前が。





「恋じゃないっすか」


「恋?」


興味無さそうに拳銃の手入れをする来島また子に聞き返してしまった。

最近湧き上がってくる感覚を事細かに説明して答えを求めた。

すると、彼女は恋ではないかと教えてくれた。


「私が晋助に恋してるの?」


「...っち、本当は嫌っすよ。晋助様に恋心を抱くなんて殺したいくらいっす。けどAなら...」


なにかモゴモゴと口ごもる来島また子。

照れたように頬を染め目をそらすと、手元の拳銃を持ち替えた。


この感情を恋と呼ぶなら、それは少し違うような気がする。

だって、私は汚い...から。

汚れている私が抱いていい感情なんかじゃないのかもしれない、と。

そんなことを思い、彼女が磨く拳銃を眺めていた。

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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チノちゃんさん» ひゃぁぁありがとうございますうう泣 (2020年7月20日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - 凄く良かったよぉぉぉぉお (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - きょこさん» わぁぁありがとうございました泣泣 本当に嬉しいです、、、!! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 高杉〜!!!かっこよすぎる!おもしろかったです。もっともっと読みたい…キュンキュンしまくりでした。ありがとう^_^ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 5129d38d73 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みきゃんさん» 了解しました!この作品の番外編をいずれ作ろうと思いますm(_ _)m (2020年6月19日 18時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2020年3月6日 13時

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