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アサガオの花言葉 13 ページ13

「随分綺麗じゃねぇか」


あの日から、来島また子とは上手くやっていた。

彼女は私に心を開いてくれたようで、唯一の女性同士ということでよく話すようになった。

そして今日は、毎日腕を上げている生け花を晋助に見てもらうため部屋に持ってきた。

彼は冷たい目で花を見つめ、冒頭のようなセリフを口にした。

けど言葉は上辺という訳ではなく、確かに綺麗だと思っているようで。

一人嬉しくなっていると、晋助は生け花から視線をずらし机に置いてある大きな植木鉢を見た。


「...おいおい、あんなでけぇもん俺の部屋に運ぶな」


「いいじゃない。私これくださいって先生にわざわざお願いしてまで手に入れたのよ?」


一目見て気に入っちゃったのだから仕方ない。

これを是非くれとせがめば、万斉は苦笑いしていたけれど。

でもどうしても晋助に見せたかったんだ、この鮮やかでどこか儚げで切なげで。

そんな色をしたこの花を。


「晋助、アサガオって知ってる?この花の名前なんだけど」


「逆に知らねぇやつなんか居んのか」


「え、えぇ!?知ってたの!?」


「...」


驚いた、まさか晋助が花の名前を知っていたなんて。


「名前、知らなかったのか」


ふとそう聞かれた。

万斉に教えてもらうまでは知らなかったと正直に答えれば、彼は目を見開いて。


「っふ、まぁそうして知識をつけてけ。てめぇに足りねぇのは学だ、少しでも身につけろ」


「勉学は楽しいから好きよ。万斉の教え方も分かりやすいし」


深い碧に染まったアサガオを指先で触りながら返事を返す。

文字すらまともに書けなかった私に、一から根気強く教えてくれている。

申し訳ない気持ちもあるが、万斉の書く字があまりにも綺麗で見惚れてしまって。

その字に近づくため、何度も何度も書く練習に付き合ってもらっている。


「学以外にも身についたものはあんのか」


窓の縁に腰を下ろし煙管を取りだした晋助。

口に咥えふーっと煙を出した彼に近づき、その場にペタリと座った。


「じゃあ晋助、三味線触らせて」


死んだ目で見つめられたが、何も言わず彼は取ってきてくれた。

渡された三味線を丁寧に構え、撥を持つ。

そしてゆっくりと慎重に私は弾き出した。

ぼーっと見ていた彼の瞳は徐々に開き、煙管から口を離したのだった。


「...万斉にね、よく褒められるの。上手に弾けてるよって」


三味線と歌だけは慣れるのが早かった。

そのふたつは、よく万斉が褒めてくれて。

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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - チノちゃんさん» ひゃぁぁありがとうございますうう泣 (2020年7月20日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - 凄く良かったよぉぉぉぉお (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - きょこさん» わぁぁありがとうございました泣泣 本当に嬉しいです、、、!! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 高杉〜!!!かっこよすぎる!おもしろかったです。もっともっと読みたい…キュンキュンしまくりでした。ありがとう^_^ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 5129d38d73 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みきゃんさん» 了解しました!この作品の番外編をいずれ作ろうと思いますm(_ _)m (2020年6月19日 18時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2020年3月6日 13時

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