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ハッピーエンド30 ページ30

「た、確かに、あの夜、正直にいえば私は沖田さんが一瞬怖いと思いしました」


あの夜、とは。

攘夷浪士に出くわした夜のことである。

殺気を纏った彼に恐怖心を抱いた。


「怖いって、別人だって思いました。けど、そんな沖田さんも好きなんです…。信じてもらえないかもしれないけど、本当に、全部好きなんです…」


沖田さんはずるい人だ。

春樹さんがよりを戻そうって、言いに来てくれたのに。

沖田さんのこと必死で忘れようとしていたのに。

結局頭の中は沖田さんでいっぱいだったし、今こんなこと言われたら

素直に言葉に出して伝えたくなってしまうじゃないか。


「あの男の元に帰んないでって、そのセリフに期待していいんですよね…?」


小さい頃から、人に何か頼まれることが多かった。

聞くのが専門、いつだってそう。

自己主張がないと担任の先生に言われたことだってある。

どこかで遠慮して、どこかで身を引いて。

誰かを優先して、それが正しいっていつも思ってた。

でも、今は違う。

今は、ワガママになりたい。


彼の目を真っ直ぐに見て伝えると、彼の目はさらに見開かれた。

そして、ぐっと握ったままの手を引かれる。

すっぽりと彼の胸に収まると、これでもかと言うほど強く抱きしめられた。


「…多分、俺の方があんたのこと好きでさァ」


じわっと、目元が熱くなり、鼻の奥がツンとなる。


「Aさん、俺と付き合ってくだせェ」


優しい声が降ってきた。

ついに私の頬に涙が流れる。

けど、鼻声になりながらも私は言葉にした。


「私の方が好きだと思います…!!」


顔を上げ満面の笑みで伝えれば、彼は柔らかく笑ってくれた。

どうしよう、本当にこんなに幸せでいいのかな。


帰り。

彼はまた送ると言ってくれて、夜道を私と歩いてくれた。


「あ、そうそう」


ポンッと、沖田さんが私の肩に手を置く。


「元カレさんと話つける時、俺も同行させてくだせェ」


「…え」


「Aさんの彼氏は今誰なのか、ハッキリ面見て言ってやりたいんでさァ」


クックック…と黒い笑みを浮かべる彼。

前から思っていたけど、やっぱり沖田さんはドSだ。

私のアパートまで来てもらい、ドアの前でお別れ。


「連絡しやすねィ」


「は、はい!」


「じゃ」



______おやすみなさい



小さな声で囁くように言われたそれは、私の胸で溶ける。

あまりに色っぽい声と顔に、心臓が止まりそうだった。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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