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賑やかで活気づいた自然豊かな土地、此処は【獣】の国
その中心部に位置する煌びやかな王宮に国王はいる
公務を終え一息ついた獅、広い王室に軽快なノック音が響いた
「貉でーす。失礼しまーす。」
「入れ。」
中性的な顔立ちの少女が堅苦しいこの場所とは似使わずのんびりと入ってくる
獅には代表となる召使いが六人いる
ムジナの獣人、タヌキの獣人、テンの獣人、カワウソの獣人、トリの獣人、そしてヒツジの獣人
獅が手元に置く位にまで上りつめるのはかなり難しいようだ
「はいオウサマ、羊サンから送られてきた資料。」
ポンと机に紙の束を乗せる貉
彼女の緩い態度はずっと前から
獅もこの程度で機嫌を損ねることはないが
「…貉、木の葉の香りがするね。また近道でもしてきたんだろう？」
「あ、バレました？」
「全く……子供が見て真似をしたらどうするんだ、君は特別身体能力が高いけれど…」
少々お転婆が過ぎるので注意することはしばしば
その度に大きな瞳をくるくる動かして耳をピンと立て以後気をつけますと言う
きっと彼女はこれからも反省しないだろう
「それにしても、羊サンすごいですねー。オウサマの右腕なら当然か。」
ソファーに腰掛けクッキーを齧っている貉を横目に資料に目を通す
羊はれっきとした召使いのトップでありプロのスパイ
資料には【人】の国の様子が細かく書かれていた
「【人】は色んな種族が集まるからそれなりに危険なんだぜ、貉は迂闊に行ったりすんなよ。」
扉が開き声が掛けられる
帽子を取った獣人は困り眉で貉を見た
「戻りました、失礼します。」
「ご苦労だったな貂。」
貂は国の見回りを行ってきた後だった
誰よりも獅を尊敬する貂は獅が守るこの国を率先して見回りしている
加えて彼は貉をネコっかわいがりしていた
「ウソ兄は？」
「アイツは遠出だって言ったろ。つーかアイツじゃなくていい加減俺の心配してくれよ貉ー！従兄妹だろ！？」
「ボクにとってはウソ兄も従兄妹。」
貂の貉離れはいつくるのか、そんなことを思いながら獅は紅茶を飲んだ
有意義な時間だと思ったがそうでもないらしい
部屋の外からバタバタと慌ただしく走る足音が聞こえる
三人が部屋を出ると少年が長い廊下を走ってきた
「どうしたの狸、花瓶でも割ったの？」
「ちげぇよオマエじゃねーんだから！っじゃなくて！王様！鶸さんの容態が……！！」
獅は僅かに瞳孔を開かせるとすぐに狸の後を追った
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作者名：灰猫 | 作成日時：2016年12月7日 5時
