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「俺らのボスは黒龍神。王の器を潰して神の座は譲ってもらうよ。」
黒龍神という名をこんなにも早く聞けるとは
亞琉斗は息を潜め、虎は低く唸る
「…おい精、中にもう一匹肉食がいやがる。」
「ふぅん……お姫様のボディガードでもしてるのかな。…最初から兵力を削るつもりで来たし…蠍、トラくんの相手は任せたよ。」
精と呼ばれた男はナイフを取り出す
少年は巨大なサソリ尾を出しすぐさま飛びかかってきた
瞬間、激しい落雷で目の前が瞬く
「……あーぁ……」
精のあからさまなため息の後、虎と亞琉斗がゆっくりと目を開くと長身の男が立ちはだかっていた
蠍が身を引き精が軽快に指を鳴らすと二人の姿は忽然と消えてしまった
バチバチと紅い電気を纏う目の前の男はただ小さく精の名を呼んでいた
「……あの……」
敵意の無さそうな男に虎が話し掛けると初めて男はこちらを向いた
男の顔を見た虎は思わず小さな悲鳴をあげる
「驚かせて悪かったな、俺ァ罪っつーんだ。」
罪は両目を包帯で覆っておりなんとも不気味に笑っていた
「……っな……なんでいる、んすか……」
「悪ィかよ。……ククッ…顔引きつってんぞ。」
亞琉斗は孤児院に入り、その後すぐに帰ってきた千鳥は真っ青になって罪を見た
罪は千鳥と同じ裏業で名の知れた暗殺者、おまけに千鳥の先輩だった
先輩と言っても裏業での基準であり罪は千鳥より年下らしい
「……見えな……」
「なんか言ったか。」
「いえッ！！」
長い足を組んで虎を威圧する
瞳が見えないだけなのに何故だかとてつもない恐怖感がある男だ
雷が嫌いな虎にとっては尚更
罪を自分に押し付け中に入った亞琉斗を虎は心底恨んだ
「言っておくが、俺らはお前らの敵でも味方でも無い。」
「……俺、ら？」
「俺は兄弟と組んで殺しをやってる。」
こんなに怖い人が複数いるのかと虎は冷や汗を流す
罪はそんな虎を知ってか知らずか淡々と話を進める
「さっきいた金髪は俺の弟だ。だがアイツ含め三人が記憶を飛ばされ黒龍神についてる。俺の目的は兄弟を取り戻すことだけだ、王の器なんざ知ったこっちゃない。」
「助けてはくれないの…？」
「甘ェんだよ。
……俺らは兄弟の為に生きてんだ。」
そう言った彼の後ろには彼の兄弟と思われる二人が立っていた
匂いは同じ、しかし顔や体格は似ても似つかない
自分達とは何処か違う恐ろしい彼らに虎は生唾を飲み込んだ
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作者名：灰猫 | 作成日時：2016年12月7日 5時
