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「俺がかわいいかわいい言ってたら、翔ちゃん先輩怒るんだよー
『薫がかわいいのは未来永劫変わらないからいちいち言わなくていいんだ！』とか言ってた」
そしてそれを呆れながら笑ってるアキもセットで容易に想像がついた。
「そういえばAちゃん、さっき話あるって言ってなかった？」
「あ、うん。それなんだけど」
その時勢いよく扉が開いて、松本さんが鋭い目をして入ってきた。
「先生は？」
「さっきナポリタン食べて帰りましたよ。
あれ？帰ってないの？」
「くっそ。どこ行った。海か？」
またすごい速さで走って行く松本さん。
「ああ、なんか今日慌しいなー。もうクローズの札出しちゃお」
そう言って看板をしまってクローズの札を出す。
「俺もお腹すいたし、もう一回作るから一緒に食べよ、ナポリタン」
そう言って、またカウンターの向こうに戻る。
「喉渇いたな、ビール飲もっと。Aちゃん梅酒ソーダほんとにいらない？」
「うん。しばらくお酒飲めないんだ」
「え？なんで？体調悪い？」
「違う。話っていうのは、ね」
「うん」
「……できたみたいで」
「うん？」
「雅紀くんと私の」
「うん」
「赤ちゃんが」
雅紀くんが手に持ってたグラスを落として、ぱりーん、て派手に割れた。
「雅紀くん！割れたよ！」
急いでカウンターにまわって拾おうとすると、後ろからぎゅうってすごい強さで抱きしめられた。
「……ほんと？」
「さっき仕事早めに上がらせてもらって、病院行ったの」
たぶん無意識だと思うけど、雅紀くんの腕の力がさらに強くなった。
「雅紀くん苦しい」
「あ！ごめんごめん！」
ぱって慌てて手を離す。
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作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月22日 8時
