日日是五色【ARS】 (ページ24)

今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:223,654 hit

4. ページ24

「私が勝ったら？」

「A先輩がバスケ部に戻れるように交渉する」

「話にならない。私は自分の意志で辞めたの」
「聞きました、柏原先輩との話」

先輩の動きが止まる。

「どうせ私が盗ったとかなんとか言ってんでしょ？
だけど誘ってきたのはあっちだし。
私は本気で好きだって思ってたけどあっさり捨てられたし…ってどうでもいいわ、こんなこと」

「とにかく勝負しよ。
三本勝負ね。
早くしねーと授業はじまる」

強引にボールをパスする。

「負けても付き合わないし、勝っても入らないよ？」
「いーから」

一本目、おれも先輩も入った。

やっぱ先輩のフォームきれい。
指先まできれい。

二本目、おれのシュートはリングに当たって外れる。
先輩は入った。

三本目、おれも先輩も入る。

「つえー…」
「はい、私の勝ち。だけどバスケ部には入らないよ？」

「じゃあなんで練習してんの？
辞めてけっこう経つのに」

「それは……」
「ほんとはすげー好きだよね？バスケ」

俯いた先輩のまつげが揺れる。

あんなにきれいなフォームは、練習やめたら絶対保てない。

「……一年のくせに生意気」

そう言って口を尖らせる先輩は可愛い。

やっぱ可愛いじゃん。

「また勝負してください」
「もういいでしょ？」

「今度はぜってー勝つ。
そんで先輩をおれの彼女にする」

やってみれば？って、先輩が笑った。