*PROLOGUE*2 ページ2
きっとまだ、両親は昨晩のことを怒っているだろう。
帰ったらまた言い合いが始まる...そう考えると一層気が滅入って、「はぁ」だなんて重い溜息をついてしまった。
『...疲れちゃった、な』
口から零れ出た本音にハッとして、誰にも聞かれてないだろうかと慌てて周囲を確認する。
これでも少しは顔の知られた人間だ。下手な言葉を聞かれてSNSにアップでもされたら、ますます両親との話し合いがこじれてしまう。
幸い周りに知人はいなかった。現代ではどこでも見られる光景のように、誰も彼もがスマホを片手に、他人のことなど気にはしていないようだ。
これからは気を付けないと...と胸の前で鞄を抱きしめた瞬間、電車の到着を知らせるアナウンスがホームに響く。
周りの人々に倣って、私自身も白線の内側へと数歩下がった。
取り合えず、次のコンクールが終わったらもう一度両親に相談してみよう。
そう決意した私の頬を、今から到着する電車が運んできた風がさわりと撫でたその時だった。
『...えっ?』
とんっと誰かに背中を押されてよろけた私の身体は、軽やかに、そして一瞬で線路に飛びこんで。
...最後に見たのは、目の前に迫る電車だけ____。
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________
____
「―――――――ゃん!!!ッ...――――――――!?」
「――――、――――!!?――――同――――がッッ!!!!!」
「全部あの子が...ッ!!あの子さえいなきゃ、こんなことにはならなかったのに!!!!」
どこか遠い場所で、誰かの泣いている声がする。
そしてこの場所にも、泣いて泣いて、搾りかすにでもなったみたいに小さな魂が一つ。
・
「オマエの命、この私が拾ってあげよう。...私の目になり、鼻になり、耳になって.........私に、外の世界の事を教えておくれ」
背後で騒ぐ者たちの意見も取り入れ、修復し、都合のいい形に作り替えたその魂を新たな世界へと放り投げた。
...多少欠点はあるが、仕方がない。
なにも世界転覆の為の道具にするでもなし......完璧な《__》をその身に課す気はないのだから、わざわざその記憶まで書き換えてやる必要はないだろう。
・
薄暗い天井をぼんやりと見上げた彼女は小さなため息をつき、そのまま眠りについた。
自ら選んだその傀儡が、再び目を覚ますその時まで___
彼女もまた、同じように目を閉じる
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雨水(プロフ) - だれかさんさん» コメントありがとうございます〜!!今後様々な事件が起きるにつれてマブ達との絆も深まってまいります!もっと面白く読めるよう尽力してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします〜〜! (2021年12月12日 1時) (レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
だれかさん - おもろくてすきです (2021年12月12日 1時) (レス) @page47 id: e7b132919e (このIDを非表示/違反報告)
雨水(プロフ) - kanameさん» ありがとうございますwww今後もギャグパート、それ以外でも面白いと思って頂けるように頑張ります!! (2021年12月6日 15時) (レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 唐突に「我がナ〇スの科学力はぁああ!」のやつ出てきて吹き出しましたwwwテンポ神すぎて笑いこらえれないwww最高ですwww (2021年12月6日 5時) (レス) @page18 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
雨水(プロフ) - フランとベルさん» 大正解です!本来の台詞を一部変更し、エドに叫ばせてみましたw (2021年11月4日 13時) (レス) id: c39e48623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨水 | 作者ホームページ:http://hibiki
作成日時:2020年12月4日 2時