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やることは終わったし、もう帰った方がいい、よね。三橋くんも1人の方がゆっくり出来るだろうし。
「三橋くん、私もう帰るね?」
「え?何で?」
「何でって...ほら、私がいると落ち着かないでしょ」
「そんな事気にすんなって、もうちょっとだけいればいーじゃん。まだ外も明るいんだからよ」
「...三橋くんがそう言うなら、居るけどさ」
正直、私が落ち着かない。三橋くんがいつも暮らしてる部屋。抱き着いた時しか分からない三橋くんの匂いがする。ずっと心臓がバクバクいってて、どうしたらいいのか分かんない。
「...A、何緊張してんだよ、変なの」
「だ、だって!三橋くんの部屋だよ?緊張するに決まってんじゃん...」
「ふーん、別にいつもと変わんねぇだろ。あ、ジロジロ見んなよ。」
「見てないもん!」
余裕そうな三橋くんがムカつく。三橋くんは自分の部屋に彼女がいて何も思わないのかな。...思うわけないか、あの三橋くんだし。
私だけドキドキして馬鹿みたい。そう思うと悲しくなってきた。
「...そんな顔すんなって、」
「っ、み、三橋くん!?近いよ...」
気が付くと三橋くんがすぐ近くにいて、思わず顔を逸らす。
すると彼は優しく私を抱き締めた。
「あ、え、どうしたの...?」
「...俺だって、緊張してんだぞ。自分の部屋に彼女連れてくんのとか、初めてだし」
「!!」
それを聞いて私もそっと抱き締め返す。...よかった、私だけじゃなくて。
「...三橋くん」
「何だよ」
「好き、だよ」
「...それ反則だろ」
「三橋くんは、私の事好き?」
自分でも女々しい質問だとは分かってるものの、じっと彼を見詰めて問い掛ける。
三橋くんは恥ずかしそうに頬を赤らめて口を開いた。
「当たり前だろ。その、...好き、だぞ」
珍しい彼からの好きと言う言葉に思わずキュンとしてしまったのは内緒。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時