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「俺ん家ここ、」
「う、うん、このまま入って大丈夫?」
「大丈夫、だけど、母ちゃん騒ぐかも。女の子連れてくのとか初めてだし...」
その言葉を聞き気を引き締め、三橋くんを支えながら恐る恐るドアを開ける。
中に入ると足音が近づいてきた。
「貴志!アンタどこで何してた、の...え!?女の子!!?」
「あ、えと、」
「誘拐!?まさか誘拐してきたの!!?」
「違ぇよ、俺がそんな事するわけねぇだろーが」
「あ、あの!三橋くんと同じクラスの、神崎Aっていいます...三橋くん、怪我してるので、救急箱とか借りてもいいですか...?」
私がそう言うとお母さんはきょとんと不思議そうに私を見る。え、何その顔。急に静かになった。
「あ、あぁ!ちょっと待っててね!上がって上がって!!」
「は、はい!お邪魔します...」
「俺の部屋2階だから、もうちょい頼むわ」
「うん、分かった」
階段を2人で上がってすぐ近くにあったドアを開ける。そこにはThe男の子の部屋が広がっていた。
...これが、三橋くんの部屋...。
「はいこれ!えっとー...Aちゃん?貴志の事お願いね!」
「は、はい!お任せ下さい!!」
三橋くんをベッドに座らせお母さんから救急箱を受け取る。
お母さんは何故かニヤニヤしてドアを閉めた。
「...やっぱうるさかっただろ、ごめんな」
「全然大丈夫だよ、何か一緒にいると楽しそうなお母さんだね」
「うるせぇだけだわ、飯もそこそこだし」
「そういう事言わないの。ほら、じっとして?」
ガーゼに消毒液を付けて顔の怪我をそっと触る。三橋くんはたまに顔を歪めるけど、特に何も言わなかった。
そのまま手当てを続けていくと三橋くんの顔には絆創膏やらガーゼやらでいっぱいになってしまった。沢山怪我してたのによくここまで歩けたなぁ...。
「...はい、おしまい」
「ん、ありがとなA」
「どういたしまして、暫く喧嘩しちゃだめだからね?」
「はいはい、さすがにしねぇって」
ぽんぽん私の頭を撫でて呟く。三橋くんが無事でほんとによかった。そう思いながら頬を緩めた。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時