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EPISODE1 - 2(変更あり) ページ24


暗い闇の中 声が響く


「ぁあ……!り、寮長が…!!」

「嘘だろ!?マジでやりやがった!」

「早く逃げろ!!」



段々と声が近付いて来ると共に、ゆっくりと視界を覆っていた暗い靄が晴れ、凄惨たる情景が目の前に広がる。


なに…これ……


空は重々しい暗雲に包まれ、土から根を離した大きな木々達が 地面に転がる人々を突き刺し 赤く染まる。


逃げ惑う人、叫ぶ人、愕然と立ち尽くす人、
既に息絶えた亡骸に 泣き縋る人……


ユウの…あの時の夢に似てる──…
恐ろしい光景を前に、私はやけに冷静だった。


悲鳴と慟哭が混ざり合う 狂った空間の中、
首が無い死体を抱えて座り込む、眼鏡をかけたアイビーグリーンの髪の男が、視界に入った。


「ああ…なんて事だ……俺が…あの時…
…躊躇わず止めてさえいれば……」


後悔を口にする彼の元に、先程まで私と一緒に居た筈の青年が歩み寄る。


ユウ……!

叫ぼうにも、声が詰まる。
やはり此処は、私が干渉できない夢の中のようだ…



「 ──ねえ、助けてほしい? 」

ユウが、その男に語り掛ける。


「……な、……助かるのか…!?」


「うん。それに、その子だけじゃないよ?
あの串刺しにされた子も、ぺちゃんこに潰れちゃった子も、首を刎ねられちゃった子も……みんな助かる」

周囲を指差してから、にこりと笑って言った。
そんなユウの足元に、死体を抱えたまま縋り付く青年…

「頼む…助けてくれ……!」

ぼろぼろと涙を流しながら懇願する彼の前に跪き、ユウはそのまま彼の頬に手を添えた。


「俺に任せて。全て無かった事にしてあげる。


でも…、ひとつだけ約束。

“今日の事”、ちゃんと覚えておいてね?
白に戻った画布に その子の新たな未来を描くのはキミだよ」


そう言って立ち上がると、
男に向け ゆっくりと右手を伸ばした。



「さぁ、手を──」

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(プロフ) - 平凡な人さん» コメントありがとうございます(*^^*)楽観的でちょっと抜けてる監督生ちゃんと、愛重めのユウくんの今後も楽しみにして頂けると嬉しいです! (2022年7月29日 18時) (レス) id: 43846487a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - おれんじさん» お返事遅くなりすみません!こちらこそいつもありがとうございます!(ᵔᴥᵔ) (2022年7月29日 18時) (レス) @page36 id: 43846487a8 (このIDを非表示/違反報告)
平凡な人(プロフ) - ぬ、主ちゃんがかわゆいッッ!!ユウくんが出てきたのにはびっくりしました!ヤンデレ…ですかね?いつもありがとうございます!次も楽しみに待っておきますね!更新お疲れ様です! (2022年7月29日 15時) (レス) id: 5666188338 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - お知らせ了解です!いつもありがとうございます! (2022年7月25日 21時) (レス) @page36 id: 1b74a0ce77 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - おれんじさん» いつもありがとうございます(*^^*)コメント頂けてとても励みになります!来週も更新出来るように頑張ります! (2022年6月10日 17時) (レス) id: 43846487a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぬま | 作成日時:2022年4月18日 10時

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