ヒロインは悪役につき２

「美穂子とエレベーターに閉じ込められる３」 ページ15

・



素敵な人



自分には一生使われないような言葉だ

だいたい、あんな小さなことでここまで言うか？普通。




「...私、恋をして。よかったと思うんだ」

「さいですか」

「えへへ、おそ松くんたちもこんな思いして欲しいんだ」




照れたように頬を掻く美穂子は同性の私からでも可愛く見えた





エレベーターの扉が開いたのはそれから数分後のことだった







・






・






「やる」

「は？」




不細工な猫のキーホルダーが入った袋を六つ子に突き出した

帰り道の事
なんだかんだ、何故か。私と六つ子と美穂子と一緒に帰っている



トト子は帰り道が違うためいつもいない




「...何？」

「だから、アンタ達が恩着せがましい言い方をねちっこくしてくるから。お礼」

「...」



警戒心丸出しでおそ松が代表して受け取った



「開けていい？」

「家で開けろ」

「テープはがれない...」

「聞けよクソ童貞」



人の話を聞かずおそ松は袋を開けた

そこに入っている猫のキーホルダーを取り出した




「なにコレ。趣味悪」



トド松がそれを見た途端、眉間に皺を寄せた
うっせーな、乾いた化け物



「わははー！すっげー変だね」



十四松がネコのキーホルダーを見て大声を上げて笑った
お前だけには言われたくねぇよ



「......ネコ」


今まで興味なさそうに歩いていた一松が目を見開いた
ネコなら何でも好きだな、お前



「...お前がプレゼントなんて、爆弾じゃねぇの」



チョロ松が疑いのまなざしを向ける
お望み通り殺してやろうか



「っふ、キュートな子猫ちゃんだ」


ウインクをしながら英語交じりに喋るカラ松
相変わらず感覚がおかしいらしい



「うわぁ」



イヤそうな顔でキーホルダーを見つめるおそ松
やっぱり返してもらおう





てか、私恥ずかしい奴だな

嫌いな女からのキーホルダーなんて欲しいわけないじゃん




アイツらは私の事が嫌いだから、さっさとかかわらなければいい話なのに


恥ずかし





「と、思ったけど...。やっぱり返せ。お前らも嫌そうだし」


そう言って私はおそ松の持っている袋を取り返そうと手を伸ばす



「おっと」




おどけた声をだし、おそ松はその手を私の手が届かないところまで持ち上げた

ジャンプしてそれを掴もうとすると、今度はカラ松にその袋をパスする




「ちょ」




カラ松からひったくろうとすると、今度はおそ松にパスさえた






・

「美穂子とエレベーターに閉じ込められる」４→←「美穂子とエレベーターに閉じ込められる」２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す