「美穂子とエレベーターに閉じ込められる」1 ページ13
・
奴らが看病しに来て数日後。
私はショッピングモールに足を運んだ
お礼の品を買いに行くためだ
こっちはいい迷惑だったけど、彼らが私を看病しに来たのは事実で
すれ違ったら奴らは口をそろえてこのように言うのだ
「お前、この前の看病は貸し一つな」
頼んでねぇよ。と言ってその場を乗り越えることはできたけど、またしつこくいってきそうだ
納豆みたいに粘々ネチネチしている性悪兄弟だから。きっと。
六つ子共に貸し一つある状態の今。そのお返しをしてやろうとこの私がわざわざ金を出すのだから、これで彼らに貸し一つだ
「...適当にこれでいいか」
目に留まったセールのワゴンに入っている品物を手に取る
大きな袋に6つの猫のキーホルダーが入っている
赤、青、緑、紫、黄、ピンク
六色の猫のキーホルダーはお世辞にも可愛いとは言えない。だが、安い。
手作りクッキーとか、マグカップとか、入浴剤とか。そんな女の子らしいものを買って六つ子にあげるのは性に合わない
さっさと会計をすまし、私はエレベーターに乗り込む
私一人しかいなかったから「閉」のボタンを押そうと手を伸ばしたとき、人がこちらに向かって走っているのが見えた
慌てて「閉」を押そうとしていた手を引っ込めて、「開」を押した
「あ、有難うございます」
「いえ...」
息を整えてお礼を言ってくる。礼儀正しいなと思いながらその人物の顔を見上げてみる
目を見開いた
「...あっ」
「げ」
美穂子だった
ウィーンと静かにエレベーターの扉が閉まる
と、同時に沈黙が訪れた
六つ子の好きな人。気まずい
「あ、あの」
美穂子が何かを言いかけるため口を開いた
その瞬間
_____ガタっ
突然足元が揺らいだ。咄嗟に手すりに摑まる
美穂子の腕を掴んで倒れ刺すのを防いだ
明るく照らされたエレベーター内は一気に暗くなる
あ、エレベーター止まった。と思うにはそう時間は要らなかった
「止まった?」
少し掠れて動揺を含んだ美穂子の声が響き渡った
「そうみたい」
それに答えると、掴んでいる美穂子の腕がブルブルと震えていることに気が付いた
「おおおおお落ち着いてください藤沢さん」
「は?」
「ここここ、こういうときは焦ってはいけません。ま、負けです。焦ったら負けです」
「ちょっと」
「深呼吸です。ひっひっふー!ひっひっふー!」
「いや妊娠じゃあるまいし!落ち着けよアンタ!」
・
「美穂子とエレベーターに閉じ込められる」2→←「夢主が風邪をひく話」3
481人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もぐりんちょ(プロフ) - もう神しか言えないよね。ウンウン最高だよね。ウンウンウン むつごと(まだおそとトドだけど)キスするなんて幸せだよね。 ウンウンウンウン (2017年3月28日 13時) (レス) id: c3278024c2 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカス(プロフ) - ト、トド松と…事故ちゅー?!うわぁぁ!!もう最高です!!! (2017年3月28日 13時) (レス) id: d1d5601469 (このIDを非表示/違反報告)
SAI(プロフ) - この作品の世界観大好きです!更新楽しみにしています!無理せず頑張って下さい!応援しています(o^^o) (2017年3月26日 11時) (レス) id: fe1261959e (このIDを非表示/違反報告)
闇松(プロフ) - この作品大好きです!更新頑張って下さい!後○○してみたシリーズで「もしも夢主がナンパされてたら?」をお願いします! (2017年3月20日 22時) (レス) id: 60f348ae92 (このIDを非表示/違反報告)
*白夜兎*(プロフ) - あ、またまたご迷惑掛けると思います。←○○シリーズで(甘えてみた)お願いします。無理だったらいいんですよ!?← (2017年3月20日 20時) (レス) id: 13ae58adc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ