ヒロインは悪役につき２

「夢主が風邪をひく話」３ ページ12

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「よ...っと」

「うぉっ？！」



視界が一瞬由来だ

体が宙に浮いた不思議な感覚に、私は目をパチクリさせた


おそ松にお姫様抱っこされたと気が付くには数秒かかった




「おそ松兄さん。そのクソ女、部屋に連れてって」




チョロ松が靴を脱いで家に上がった

他の松達もそれに続く





「ちょ、おろせ！」

「可愛くねぇーなぁー、大人しくしろっての」

「だーまーれ！ッゲホッゲホ」

「っは、病人のくせに。アホだなぁ」





あー、むかつく
喉痛いし、頭クラクラするし、勝手に家に入られるし


いい迷惑だってのに




「はー、重」

「痛っ、おいこらおそ松。っゲホ...病人をて、丁重に...扱えっての」



ベッドに乱暴に投げられた
視界の端では私の部屋を物色している松達がいた



「うわー、色気ねぇ部屋」

「っふ、ラーメン特集本があるぜ」

「少年漫画ばっかだし」

「...このネコのキーホルダーどこで買ったの」

「わーーっ！やきうの本だぁ！！」

「性格が滲み出てるよねこの部屋」




「勝手に漁るなクソ虫共！」





枕元に会ったクッションを投げつけると丁度十四松の顔面にクリーンヒットした





「いたい！やきう？！」

「うわ、もの投げるな！」





十四松がクッションをこちらに投げ返す
なんとかキャッチしたものの、頭がグラッと揺れた



起していた上半身をもう一度ベッドに沈める




「わわ、だいじょーぶ？」

「お前のせいだよ...ッゲホ」






もーうるさい

寝させろよ馬鹿







目を閉じると額にヒヤリとした感覚が伝わった
何が起こったのかが分からない。少し目を開けるとチョロ松だった


軽く触れてみると冷えたタオルだった




「ふ、さすが童貞ー。っゲホ、看病上手だ」

「いや、童貞関係ないからね！」




「はぁー？俺にも看病ぐらいできるしー」




おそ松が私の布団を掛けさせた





カラ松はお粥を作り始めるし、一松は薬と水を用意するし、十四松はまたカイロを用意するし、トド松はネットで検索して治り方を調べるし




...本当に謎だ




お前らの大事な美穂子をいじめた女の看病するってどんなシュールな光景だよ



普通は関わる予定なかったのに



本当に馬鹿だよなーお前らって







「...ありがと」



「...おう」






誰が返事したのか分からないけれど




余計なお世話なのに、なんでお礼を言ったのは分からないけど





奴らと出会って少しだけよかったと思う瞬間だったのは分かった





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