Call My Name ！ Ⅱ (ページ48)

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　俺は女子に背を向ける。いつもの行動だ。こうすれば1層かっこよく見える。

　振るとはいえ告白してきた事にはそれなりの敬意を示すのが、俺流のモテテクっす。しかしその行動に、気落ちしながらも女子は問いかけた。

　｢あの！それって、＿＿＿鷹村さんなの！？｣

「………」

　予想外の問い。もう話は終わったはずじゃない？つーか普通聞いてくるものなのか？俺の記憶が正しければ確かこの人3年だ。

　たった2歳しか違わないのにこんな事をズバッと聞けるものなのか。自分が誰に負けたのかなんて知りたいものなのか。

　3年、という単語にフッ、と朱センパイの顔が頭に浮かんだ。真っ赤になって固まる顔、その癖勝負事になると眼光を鋭くして集中する顔、………あの日、たった1度だけ見た笑顔。

　どの顔も嫌いじゃない、そう思ったところで黄瀬の顔がボッ、と赤くなった。黄瀬自身それがわかって背を向けながらも口元を隠す。

　やべ、………俺、そうとう朱センパイのこと好きになってる。顔思い出しただけで紅くなるとか純情か。………そう、いつもはダルい時に使う"好きな人がいるから"戦法は今回に限ってはあながち間違いじゃないのだ。

　今の俺にはセンパイしか見えないし、それ以外を見るつもりもないのだ。

　｢………？黄瀬くん？｣

　後ろから聞こえる女子の声。困惑の色が伺える声色は勿論あの人じゃない。それでも火照った顔が冷める様子も見せてくれるわけでもなく。

　言いたい。言いたい。彼氏、じゃなくても………この想いを、みんなに知らしめたい。

「…ッ、そっすよ」

　｢え？｣

「俺が好きなのは朱センパイ………鷹村センパイっす。それ以外と付き合いたいと思わないし、今はセンパイしか見たくないんす」

　｢…………！！！｣

　俺は背を向けながら言った。言ってやったのだ。この女子が何を思うかは知らない。けど、この気持ちが広く知られれば少しはセンパイだって俺のことを見てくれるんじゃないか？って、思ったから。

　黄瀬はそれにほくそ笑みながらその場を後にした。女子＿3年で有名な美ギャルであることをあとから聞いた＿の目には怒りの色が宿っていて。

　そして。

　俺はこの時全く気づいてなかった。

　頭に浮かんだあの鷹村朱が木の後ろから、告白をしっかり＿＿＿＿＿険悪な顔つきで覗き見ていたことを。

　なにも、知らなかったんだ。