Call My Name ！ Ⅱ (ページ32)

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#79 ページ32

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　ガタタタタ、ガタンガタ！！

　黄瀬は私に気づくと机や椅子にぶつかりながらも後ずさった。

「せ、セセセセンパイ！起きっ！？」

　いつもの余裕そうなしゃべり方はどこへやら。ぎこちなくそう言って自分の胸倉をつかみながら私を見つめた。

　
　真っ赤な顔。耳まで真っ赤で何か言いたげな顔。それに、さっきの何＿＿「ごめんなさいっす！」

「＿＿＿ッ」

「ごめんなさい、ホントごめんなさい！」

　黄瀬は何度も何度も謝りながら早足で来てカバンを持った。そして背を向けながら言う。

「忘れてください！」

　それだけ言ってピシャ、と扉が閉まった。朱は1人その扉を呆然と見つめる。

　顔、熱い。胸もきゅうと締め付けられるみたいに苦しい。けど足、動かな…………

　ダダダダダダダダ！！！！！

「………？」

　騒がしい足音が近づいてくる。と、思ったらガラッ、と扉が開いた。外にははぁ、はぁと激しく肩を上げ下げする黄瀬。

「………黄瀬？」

「はぁ、はぁ………ッ、やっぱり、忘れないでくださいっす！！！！」

「は………？」

「自分勝手ですみません！不意打ちだから卑怯だし、困らせるってのもわかってますけど………

　それでも、やっぱり忘れないで欲しいっす！！！！」

　黄瀬はそれだけ言うと「あ、そ、そういうことで今日は予定あるんで帰るっす！」と言って再び逃げていってしまった。

　なんだ、あれ。

　ドキ、ドキ、ドキ、……………

　………なんだ、これ。

　朱は1人、高鳴る鼓動を抑えるように胸を抑えた。苦しい、苦しい………けど、忘れることなんて、できねえ。

　だって＿＿＿＿＿＿＿＿だって、私、嬉しいって…思っちまったんだよ…………

　私は目を閉じた。