Call My Name ！ Ⅱ (ページ27)

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ねえ、覚えてる？
私、あの時すごく苦しかった。でも甘くて…………初めて自分の気持ちに、頭を抱えたんだよ。

＊＊＊

球技大会が終わった7月中旬。夏休みが近くて、みんなが浮かれ返ってる……………中で。

「もっと男らしく生きろ、由紀夫」

「ちっがーーーーーう！！！！心情を読み取れってここに書いてるよね！？問題文も由紀夫も無視しないでよ！！！！」

「う………」

私たち以外居ない教室に桜の怒声が響いた。私＿＿＿朱は教科書で顔を隠す。その横で笠松が森山の教科書を指さしながら言う。

「穂高、落ち着け。お前は悪くない」

「でも、でもおおおおおおおおおお、」

「笠松、この方式を使えばいいのか？」

「おー。………おい渡辺、この短歌はどういう意味だ」

「それは恋文の文章で、………というかこんなのも分からないんじゃあ期末やべえんじゃねえの」

そう、期末テストが近いのだ。夏休み前の最大の難所。私にとっては、だけど。でも学生である以上避けて通れなくてこうして教えて貰いながらやってる。本当は桜だけでいいんだけど、2人で勉強してたらわらわらとみんな集まってきて大きな勉強会みたいになった。

部活休みを使ってみんなの得意分野を教え合いながらやっている所だ。わりとこういうことはあるからそれに関してはいいんだけど。

「朱センパイかっこいー、問題にアドバイスを返すなんて！流石っす♪」

「黄瀬く～ん？？？間違いを褒めないでくださいます～～～？」

「いいじゃないすか、センパイ達の勉強会楽しいっすね」

そんなことを言いながら私の横でけらけらと笑う黄瀬。…………なんで。

「なんでお前がいるんだ？」

「ん？センパイが居るところに常に俺ありっすよ♪」

「理由になってねえよ。お前も帰って勉強してろ」

「じゃあここでやりまっす！俺もセンパイ方に教えられながら朱センパイと並んで勉強するっす～なんかカップルっぽ～い♪」

「だからカップルじゃねえつって」

「ほ～ら、そんなこといいから口より手を動かしなさい！」

「…………はい」

私は桜に諌められて、再び問題と向かい合った。