Call My Name ！ Ⅱ (ページ26)

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＊

「はぁ、は…………………え………………」

　私が……………………………負け、た？

　3年間やってて、…否、10年ボクシングをやってて初めてだった。悔しいとかそう言うのより信じられなかった。私、負けた………の？

「ッ、は………センパイ！」

「あ……………」

　ぼうっとしてると黄瀬に話しかけられた。我に返った私は黄瀬を見る。黄瀬は＿＿満面の笑みで、拳を向けてきた。

「いい勝負だったっすよ！」

「……………！」

　負けたんだ、と理解した瞬間だった。黄瀬が輝いて見える。私に初めて勝った男＿＿＿＿＿＿…………

「なにぼーっとしてるんすか、ほら、拳出して」

「あ、ああ…」

「はい」

　こつ、と拳と拳があった。少し汗ばんだ拳。傷つけることしか出来ない私の拳に、細くて大きな拳がくっついた。黄瀬はそうすると嬉しそうにして言った。

「…………約束、守ってくださいね」

「………………わかったよ」

　そんなこんなで、球技大会は終わった。
　ボクシング部は野球で1位、リレーで2位。備品新調と半年の食堂タダの権利を手に入れた。

敗北

(負けの味はほろ苦かった)

(危なかったっす………勝ったけど運がよかっただけなのは内緒)