Call My Name ！ Ⅱ (ページ20)

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「あれっ、飲み物…………忘れてきちゃったのかな？」

　桜が鞄を漁りながらそう言った。いつもしっかりしてる桜にしては珍しい。まあでも4時に起きたって言ってたし、疲れてるのだろう。私は食べていたハンバーグを飲み込んでから立ち上がる。

「なら自販機行ってくるよ。テキトーでいい？」

「えっ、朱ちゃん、私行ってくるから食べてなよ！」

「いや。これくらいはさせてくれ」

「ああ、じゃあ今金「それもいい」はあ？そういうわけにいかねえだろ」

「別にいいよ。偶にはな。この前の試合でファイトマネー入ったし気にすんな」

「よっ！太っ腹！流石女王！」

「てめえだけ買ってこねえぞ森山。んじゃ、行ってくる」

「あっ、俺も行くっすよ！」

　私が行こうとすると黄瀬も立ち上がった。ジュース買いに行くのにゾロゾロ行くことない。そう思って言った。

「それもいいよ。食ってろよ」

「いーやっ！センパイ1人は危ないっす！ナンパとかナンパとかナンパとか！

　センパイは俺だけのセンパイなんで♪」

「「「「え」」」」

「いらねえよ。お前のものになった覚えはない」

「「「「は？」」」」

「そう言わずに～！実際問題1人じゃこの人数の飲み物持てないっしょ！だからついていきますよ～！！！」

「………はあ、もう勝手にして。ほら、行くぞ」

「は～～～い！」

　2人はそんな会話を残して行ってしまった。森山と絢は顔を見合わせる。

「おい………黄瀬、普通にさらっと告ってなかったか？」

「…………私もそう聞こえた、けど朱は普通にさらっと否定してたよな」

「黄瀬が鷹村の事を好きなのは知ってるけど、あんな大胆なアプローチしてなかったと思うが………何か2人に進展あったのか？」

「あれは多分違うと思うな～」

　そういったのは桜だった。桜は枝豆が刺さったピックを持ち、弄びながら言う。

「むしろその逆。黄瀬くんは朱ちゃんが好きで気づいてもらおうとしてるけど、朱ちゃんは全く気づいてなくて……自分の気持ちにも、気づいてなくて。距離が近いようで遠いんだと思う。

　……朱ちゃんはにぶちんだからな～黄瀬くん苦戦してるな～」

「なんか桜がいうと説得力あるな………」

「アイツらできてんのか？」

「笠松ほんとそれだめな？」

　少し重くなった空気、笠松だけがもぐもぐと唐揚げを口に含みながらきょとんとしてて。3人ははぁ、と溜息ついた。ここにも鈍いのが1人……。