Call My Name ！ Ⅱ (ページ18)

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　そんなことを思いながら試合をしてると、ギャラリーの前で女子たちを食い止めてた応援団の男子が言った。男子が見ている方向を見ると、数人の応援団を連れた学ラン姿の朱センパイ。

　朱センパイは体育館に入るなりあからさまに嫌な顔をした。素直過ぎて思わず笑ってしまった。人混み嫌いなのになんで来るのあの人。本当に面白い人。

　………………せっかく見に来てくれたんだし、かっこいい所見せるっすよ。

「黄瀬ェ！！ボケッとすんな！！！行ったぞ！！！！」

　ちょうどボールが来た。スパイクかまそうと思ったけど、もう笠松センパイが飛ぼうとしてる。しょうがないなあ………ならかっこよくセッターやるっすよ！

「笠松センパイ！」

「セェイ！」

　笠松センパイは俺のトスを受けてスパイクを決める。きゃぁぁぁぁぁぁ、と女子達の歓声。汗を拭きながらセンパイを見る。センパイは驚いた顔をしてる。大きな瞳をぱちぱちとさせて。………可愛いなあ。

　そんなセンパイと目が合った。何か言いたげな顔。しょうがないなあ。

「朱センパイ！今の見たっすか！？俺のかっこいいプレー！！！惚れたっすか？！」

「………！」

　センパイの方を向いて大声で言ってやった。手も振った。女子が一斉にセンパイの方を向く。目立つの嫌いなセンパイにいつも冷たくする仕返し。

　センパイはびく、と身体を揺らすとブカブカな学ランの裾で顔を隠した。もう遅いし意味ない抵抗が愛らしい。やっぱり俺が好きになった人は可愛いな～……………

「試合に集中しろって言ってんだろうがシバくぞ！」

「ギャアッ！！！もうシバいてるっす！」

　そんなことを思ってると背中に大きな衝撃と痛みが。笠松センパイがキレた。覚悟の上だったけどやっぱり痛い。

　でも、仕方ないじゃないすか。好きな人にはカッコつけたいしかっこいい所見せたいし…………つまらない試合よりも、センパイの表情見ていたいと思うのは。

　そんないつもの掛け合いをしてる間にセンパイは消えていた。逃げたのだろう。予想通りのことだからさして驚かなかったけど、ちょっと寂しかった。

　まあ、そんなこんなで俺達バスケ部は野球部に大差をつけて勝った。そのあとも男子水泳部にも勝った所でお昼休みになったのだった。