09 手分け ページ10
心配でなく不安だと告げたナーガを鉄也は真っ直ぐに見つめる。
やはり、彼が嘘を吐いているわけではなさそうだった。
彼の心で考えたことをそのまま口に出ているような、そんな純粋ささえあるような気すらした。
「そうか……それじゃあ、僕はこれから外を中心に調べることにするよ」
それなら君を不安にさせることもないだろう、と鉄也が言えば、ナーガは頷いてから言った。
「俺も行く。
一緒にここを出ようと言った」
鉄也は首を横に振る。
「だからこそだよ。
手分けしよう。
僕は外、ナーガは中を調べて、何かあったら君が外に出て来て僕を呼んでくれればいい。
僕の耳は機械だから、遠くでも聞こえるし」
「新造人間の耳は機械のようにいいのか。
ゴイスーだ」
これは了承してくれたということでいいのだろうか。
どこかずれた発言をしたナーガに礼を言い、鉄也は遺跡の壁を軽やかに登り始めた。
☆☆☆
「てめぇなら戻って来ると思ったぜ、ナーガ」
大我は通路の奥から歩いてくるナーガに声をかける。
ナーガは辺りを見回した。
「武士はいないのか」
「あぁ。
俺とは組めないと言ってどこかに行った。
……キャシャーンは外か?」
「そうだ」
短いやり取りで大我は確信する。
彼は間違いなく鉄也と武士の仲間だ。
そして、自分が守るべき相手でもあるのだ、と。
☆☆☆
武士は怒りのままに飛び出し、通路の奥へと迷い込んだ。
前も後ろも薄暗く、等間隔で設置された松明の明かりは通路の全域をカバーしているとは言えなかった。
時々崩れかけてひびの入った天井から僅かな光が零れ落ちてくるのが救いである。
武士は道すがら、大我やナーガとの記憶を呼び起こしていた。
ナーガは静かで、けれど黙っているのではなく、言いたいことははっきりと言うタイプだった。
大我は対立こそしてしまったものの、遺跡から脱出する方法を積極的に考えてくれていた。
どちらもいい人ではあるのだ。
ただ、それが武士とは違う正義で動いているだけで。
不意に道が開け、視界が広くなった。
そこは広間になっていた。
奥に扉がある以外何もないが、天井には意図的に壊されたであろう穴が開けられ、瓦礫の山が積まれている。
武士は誰がこの穴を開けたのかが簡単に推測出来た。
大我だ。
彼と最初に出会った時、同じような穴を開けて異形達を潰した。
そして、広間の奥から異形達が武士に向かって接近してきている。
ポリメットを被り、武士は叫ぶ。
「転身・ポリマー!」
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つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは、明けましておめでとうございます(二日遅れ)。 お疲れ様、そして返信遅くなってごめんなさい。 お仕事、すぐに始まるんだね……大変だ。 リナの小説読んだよ! 続きが気になって仕方ない(笑) でも無理しないでね。 いい一年にしよう! (2018年1月3日 0時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様でしたm(__)mそして……完結おめでとう(*≧∀≦*)いやー…よかった(〃ω〃)あたしは好きだ(〃ω〃)短編小説頑張ってなv(^o^)あたしもがんばりますv(^o^)完結目指して… (2018年1月3日 0時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)m紅白見ていた。新年から仕事(。´Д⊂)マジ泣きそうΣ(゜Д゜)更新続きを書き終わりました。また時間みてやりますm(__)mよいお年を(*≧∀≦*) (2017年12月31日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! 仕事納めがあったんだね。 ゆっくり休んでね。 小説はいよいよ最終決戦です。 リナも無理しちゃ駄目だよ。 体調に気をつけてね。 よいお年を! (2017年12月31日 20時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)mありがとう(///∇///)今年最後の夜勤終わったm(__)m更新遅くなるけど話書くからm(__)m話ありがとう(///∇///)無理しないでね(。´Д⊂)体調崩さないでね(。´Д⊂) (2017年12月30日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年11月19日 0時