リアル・ヒーローショー

07　誘拐 ページ8

とりあえず分かれたところまで戻ってみよう、ということになり、大我とナーガは武器庫を出た。

細い入り組んだ通路は、先程通ってきた道すら分からなくさせる。

大我は思わず顔をしかめた。

「こっちだ、大我」

そんな大我の横を通り過ぎ、ナーガは道を示した。

かつて怪盗をしていた彼には道を覚えることなど容易かったようだ。

大我が道案内を頼むと、ナーガは快諾して歩き出した。
真っ直ぐに進み、右に曲がり、左側に曲がり、真っ直ぐに進む。
予想以上に曲がりくねった道を迷わずに進んでいくナーガに、大我は舌を巻いた。

「……お、お二人さんじゃん」

ナーガと大我を見た武士が片手を上げた。
どうやら鉄也と先に戻ってきて待っていたらしい。
同じことを考えていたようである。

「そっちも成果があったみてぇだな」

「本当に小さい手がかりだけどな」

大我が言うと、武士は頷いて鏡の破片を見せた。

「大我、俺達の鏡の枠に入るんじゃないのか」

ナーガが言い、武士は鏡の枠に破片を乗せてみる。
すると、破片が元々あったであろう位置まで勝手に動き、ピタリとくっついた。

「ビンゴだ」

「これからはこの鏡の修復作業をすりゃいいってことか」

武士と大我がそう言っている中、鉄也は静かに輪を抜けて壁に手をついた。

ナーガがそれを見つめ、武士と大我に視線を移した。
二人はちょうどナーガと鉄也に背を向けている。

「鉄也、すまない」

「……え？」

小さな声でナーガが鉄也に囁いたかと思うと、ナーガが鉄也を担ぎ上げる。
鉄也は咄嗟にナーガを蹴るべく足を振ろうとした。
だが、動かない。
鉄也はナーガの蛇の眼によって動けなくなっていたのだ。

ナーガが音もなく走り出した時、蛇の眼は使用されていなかったが、鉄也は動けなかった。

その様子を受けてナーガは確信する。

鉄也は今、太陽エネルギーが切れる寸前だということを。

☆☆☆

そのことに最初に気付いたのは大我だった。

「おい、ナーガとキャシャーンはどこに行った？」

大我が武士に問う。

武士は首を横に振って答えた。

「少年は太陽エネルギーがなきゃ動けない。
残りの充電も少なかったし、勝手に行動しようとは考えないはずだ。
ってなると、考えられるのは……」

「ナーガが誘拐したってことか。
たく、面倒せぇ真似しやがって」

武士が躊躇った結論を大我はあっさりと言い放ち、頭を掻く。

その姿はまさしく面倒臭いという彼の本音を表していた。

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