リアル・ヒーローショー

38　決戦 ページ40

0と1で出来た黄緑色の球体の中は、可愛らしい幼女の部屋だった。
部屋の奥にある巨大なスクリーンだけがやけに存在を主張している以外におかしなところは何もない。

「気をつけて。
ここはAの部屋だ」

遺跡で見た部屋と同じだと気付いたキャシャーンが警戒しながら言ったその時、部屋の主の声が響く。

「その通りよ。
ここでたくさんのショーを見たわ。
素敵な部屋でしょう？」

部屋がぐにゃりと歪んで別の景色に変化する。

だだっ広い、石で造られた円形の闘技場。
遺跡でAと戦ったあの場所だ。

そこには既にサソリオレンジ、ヘビツカイシルバー、スナイプがいた。

「でも悲しいわ、本当に悲しいの。
ヒーローはそれを分かってくれないんだもの。
警戒ばかりして、親しんでくれない」

「当然だろ？
お前は俺達に攻撃してきた相手なんだから」

ポリマーが言うと、ガッチャマンが歩み出る。

「お前はヒーローショーが見たいという純粋な欲に駆られてやり過ぎた。
そして結果として悪意無き悪になってしまったんだ」

「悪……ヒーローの敵ね。
素敵ね、本当に素敵よ。
それは私の存在理由でもあるの」

スナイプの脳裏にいつかのニコの推測が浮かんだ。
敵として生まれたのにヒーローと戦えなかった無念があるのではないか、そんな推測だったはずだ。
それがここで肯定された。

「嬉しいわ、本当に嬉しい。
ここでヒーローショーの最終章が始まるのね。
……さぁ、見せてよ！」

Aからどす黒く邪悪な気配が膨らみ、弾ける。
次々に異形が生まれ、弾幕が飛び交う中でヒーロー達が動き始める。

ポリマーとスナイプが駆け出し、異形を倒していく。
Aに攻撃を仕掛けようとするが、それは漆黒の弾幕の雨に防がれた。

テッカマンがテックランサーをAに降り下ろしたが、両手剣で受け止められる。
そして幼女では考えられない力で押し返された。

ガッチャマンが投擲武器をAに投げる。
両手剣に弾かれて明後日の方向で武器が爆発する。

「電光パンチ！」

キャシャーンがその隙に技を放つ。
油断していたのか、Aがまともに食らって吹き飛んだ。
その先にいたヘビツカイシルバーがさらにキューシックルで斬りつける。

Aが一度体勢を立て直すべく距離を取ろうとするも、サソリオレンジが尻尾をAに巻き付けてそれを阻んだ。

Aが力任せに両手剣を振り、尻尾から逃れる。
同時に頭上から漆黒の弾幕を大量に出現させ、ヒーロー達に浴びせた。

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