31 無力 ページ33
「鉄也、終わったぞ」
「ありがとう」
鉄也の体の整備の手伝いを終えたナーガがそう言うと、鉄也は言う。
「背中は自分じゃやりにくくていつもちょっと困ってたんだ。
君を相棒にしている人が羨ましいよ」
「鉄也はバランスが羨ましいのか。
俺は鉄也が羨ましい」
突然ナーガに自分が羨ましいと言われて鉄也は目をしばたかせる。
「どうして?」
「鉄也には感情がある。
それに、何となく体の構造などがバランスに似ている」
その言葉に鉄也はうつむいた。
体の構造はともかく、「感情がある」だなんて。
自分は感情を手放していってしまっているというのに。
「僕はナーガに羨ましがられる要素なんてないよ」
「そんなことはない。
鉄也はゴイスーだ」
鉄也はそう言い返したが、ナーガが純粋な瞳でそう言ってきたのでただお礼を言うことしか出来なかった。
☆☆☆
ザザ、と時折ニコの体にノイズが走るのを、健はただ見つめていた。
正義のヒーローとして、悪を討つのは当然だった。
たとえそれが多少の危険があることだったとしてもである。
だが、この時ばかりは自分を止めてくれた武士に感謝する。
もしかしたら自分はニコのように、あるいはもっと酷い状態になっていたかもしれないのだから。
「やめておいて良かったろ?」
隣にいた武士も同じことを考えていたらしく、健に言った。
健は僅かに黙った後「少し外の空気を吸ってくる」と言って出ていった。
入れ替わるように大我が武士の下へ歩いてくる。
「ちゃんと忠告は届いたらしいな」
まあな、と相槌を打ち、武士はニコを見る。
「……俺達も、ああなるかもしれないんだよな」
「怖いのか?」
大我が問うと武士は首を横に振った。
「いや、俺が無力であることが悔しいんだ」
無理して異形達と戦うことは出来る。
だが、戦った先に待つのが今のニコかそれ以上の症状、そして消滅だ。
ニコが連れてきた黎斗も、どこまで信用したらいいのか分からない。
ノイズの音が聞こえる。
武士はそれが自身から発せられたものだと気付かなかった。
☆☆☆
健は外を歩きながら欠伸をした。
外ではたくさんの家がイルミネーションを飾り、店はそれに加えて限定商品を販売している。
聖都はクリスマス一色だった。
きっと夜になったらイルミネーションが綺麗だろうと思いながら健は歩いていく。
そして出会った。
邪悪な気配をした少女、Aに。
健は尋ねた。
「お前がAか。
何が目的で武士や鉄也を呼んだ?」
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つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは、明けましておめでとうございます(二日遅れ)。 お疲れ様、そして返信遅くなってごめんなさい。 お仕事、すぐに始まるんだね……大変だ。 リナの小説読んだよ! 続きが気になって仕方ない(笑) でも無理しないでね。 いい一年にしよう! (2018年1月3日 0時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様でしたm(__)mそして……完結おめでとう(*≧∀≦*)いやー…よかった(〃ω〃)あたしは好きだ(〃ω〃)短編小説頑張ってなv(^o^)あたしもがんばりますv(^o^)完結目指して… (2018年1月3日 0時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)m紅白見ていた。新年から仕事(。´Д⊂)マジ泣きそうΣ(゜Д゜)更新続きを書き終わりました。また時間みてやりますm(__)mよいお年を(*≧∀≦*) (2017年12月31日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! 仕事納めがあったんだね。 ゆっくり休んでね。 小説はいよいよ最終決戦です。 リナも無理しちゃ駄目だよ。 体調に気をつけてね。 よいお年を! (2017年12月31日 20時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)mありがとう(///∇///)今年最後の夜勤終わったm(__)m更新遅くなるけど話書くからm(__)m話ありがとう(///∇///)無理しないでね(。´Д⊂)体調崩さないでね(。´Д⊂) (2017年12月30日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年11月19日 0時